あまり語られることのない、ハンダゴテ台についてのお話です。
ホームセンターなどでは、あまり販売例がなく、
重要視されることのないパーツですが、快適な作業のためには
ハンダコテを置く台にも気を使いたいものです。
言うまでもなく、ハンダゴテは高温になるものですから
不安定なコテ台では危険です。
特に、曲げた針金の上にそっと置かねば転がってしまうようなコテ台は、
ハンダゴテの電源コードのクセによって、
何度も落ちてしまうような状況になります。
目や手が危ないのはもちろんですが、周囲のものを焦がしたり
基板や部品にダメージを与える原因となります。
少々コードに引っかかったぐらいでは、ハンダゴテが飛び上がったりしないような、
重量のあるしっかりしたものを選ぶようにしましょう。
はんだ付け職人のハンダゴテセット用のコテ台
温度調整ステーション型ハンダゴテ以上のグレードになると、
最初からしっかりしたコテ台がセットされていますのでそちらを使えば良いですね。
コテ先の掃除は怠ると、たちまちハンダ付け不良に繋がりますので重要な項目です。
主に、コテ台に付属のスポンジを用いて行いますが、ハンダゴテは単体で
販売されることも多いため、お持ちでない方も居られます。
価格も200円程度ですし、必需品ですので買い揃えましょう。
実際にはんだ付けを行ってみるとわかりますが、コテ先には
ハンダのカスやフラックスの焼けたものなどの不純物が、
かなりの頻度で付着します。
これを、そのままの状態でハンダ付け作業を行いますと、
コテ先の熱が母材に伝わらなくなったり、融けたハンダの中に、
これらの不純物が取り込まれたりしてしまいます。
深刻なハンダ付け不良の原因となりますので、
ハンダ付け作業中はコテ先を常にチェックして掃除を行います。
コテ先の掃除はスポンジを水で濡らして使います。
このとき、スポンジに水が滴るほど水を含ませてしまっては、
高温のコテ先を水に漬けているのと同じことになってしまい急激な温度低下を招きます。
熱衝撃で、コテ先のメッキの表面に微細なクラックが入るため、コテ先の寿命を縮めます。
スポンジは指でつまんでも水がポタポタと落ちない程度まで絞って使います。
たいていのスポンジには丸穴や半丸状の穴がありますが、
市販のスポンジにはただの真四角のものもありますので、
左記に示すようにハサミでV字の溝をカットしたりして、
スポンジの角の部分を使って掃除するようにすると掃除がしやすくなります。
(以前セミナーで「V字にカットしてください。」とお話したところ、
とんでもないカットをされた方がありましたので念のため・・)
写真でご覧のように、スポンジの角の部分を使って、コテ先を回しながら
ハンダをこそぎ落とすように掃除すると手早くキレイになります。
次に、クリーニングワイヤーのお話です。外観写真はこんなものです。
要は金ダワシみたいなものですが、フラックスが塗布されているため
コテ先がキレイに掃除されます。
スポンジにない利点としては、水を使わないため、コテ先を掃除するたびの
温度低下が少なくなります。
作業性が良いばかりでなく、ヒートショックによるコテ先の劣化も少なくなりますね。
実は、ワイヤータイプのクリーナーにはもう一つ利点があります。
それは、コテ先のはんだが完全に除去されずに薄っすらとはんだでコーティングされた状態に
なることです。1005や0603など、小さな部品をはんだ付けする際には、
コテ先の酸化が大きくはんだ付け性に影響を与えます。
ワイヤータイプですと、コテ先がはんだでメッキされた状態となり、
酸化しにくいので作業性が上がります。
ただし、フラックスの効果は次第に無くなります。無くなってしまうと、
ただの金属たわしになってしまって、コテ先を傷つけることになります。
消耗品として考えたほうが良いです。
使用方法は、このワイヤーの塊をコテ先でグサグサッと突き刺すようにして使用します。
このため、先に紹介した写真のように何か囲われたものに入っていないと
ハンダの飛散を招きます。
また、この使用方法による弊害として、ワイヤーが徐々に千切れてしまうため、
ワイヤーの屑が周囲に飛び散ることがあるので注意が必要です。
フラックスの効果が薄れてくるか、ワイヤーが細かく千切れて嵩が少なくなってくると
交換時期です。
特にワイヤーの嵩が減ってくると、コテ先を突き刺した際に、
カチカチッとコテ先が底に当たりコテ先にダメージを与えてしまいます。
当社では、チップ部品の表面実装には、ほとんどの場合、
このクリーニングワイヤーを使用しています。
1005、0603、0402サイズの部品の実装などに使用する先端の細いコテ先の掃除に向いています。
ただし、このワイヤーも万能ではなく、コテ先が2C以上の太さになると、
掃除しても除去したハンダが再びコテ先に付着してきます。
このため、コテ先の太さ、形状に応じて、ワイヤーとスポンジを
使い分ける必要があります。
「なぜ、ワイヤーやスポンジなど種類がいろいろあるんだろう?」という方
疑問が解けたでしょうか。
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