こんにちは、はんだ付け職人です。

今日お話しするのは、
3つの要素のうちの3つ目
「3:はんだの表面張力を利用する。」です。

※今日初めて読まれる方には、念のため・・
 1級の課題でもある0.5mmピッチのQFPの
 実装についての理論的な解説です。

表面張力と言いますと、
コップの縁から盛り上がった水面や
乾いた雑巾をバケツに掛けておくと
いつのまにか、バケツの水が外にこぼれたりする現象を

思い浮かべる方も多いと思います。
これは、水が自身の表面積を出来るだけ小さくしようとする
力が働くためなんですが、

同様に、2枚の重ね合わせたガラスの隙間に
水を一滴垂らすと、水は合わせたガラスの隙間に
大きく広がる力が働きます。
参照図:

溶融ハンダも液体ですから同じ力が働きます。

この物理現象を利用して、表面実装部品では、基板と部品の間に
できた狭い隙間に溶融はんだを流し込むことができる
わけなんですが、

この力は、コテ先と基板の間に出来た隙間にも働きます。

先にお話した2つの重要な要素では、
「基板面(ランド面)から熱を供給する」にも、
「溶融はんだの温度を250℃にコントロールする」のにも、

コテ先と基板の間に溶融はんだを保持することが
重要だったんですが、

「はんだ量のコントロール」にも重要な役目を担っています。

簡単な図で説明しますと、

QFPimage1


コテ先と基板の間に出来た隙間から、
基板と部品の間にできた狭い隙間に溶融はんだを流し込むこと、

QFPimage2



多くなりすぎたはんだを、コテ先と基板の間に出来た隙間に
吸い込んで除去するのも、

コテ先と基板の間に出来た隙間をコントロールすることで
表面張力を利用します。

いかがでしょう?
こうして考えると、「コテ先と基板の間に出来た隙間」と
その「隙間に保持する溶融はんだ」「移動スピード」をコントロールすることが、

こうした狭いピッチの多端子表面実装部品の
鍵を握ることがわかります。

コテ先の平らな面が、傾いたり離れたりせず、
微妙な隙間を保持しながら、平行移動していくことに
意識を集中させれば良いわけです。

そして、このコントロールは意外に許容範囲が広くて
意識して練習すれば、案外簡単にできるものです。
(決して特殊な技術ではありません)

今までは、個人の勘に頼ってこうした作業は行われて
いたために、高等技術のように思っておられた方も
多いと思いますが、実は簡単です。

是非、チャレンジしてみてください。


※もう一度観たい方のために念のため


  約3分(youtube)
(視点を変えて観てみましょう)


では、明るいはんだ付けを!