こんにちは、はんだ付け職人です。

先週に引き続き、1級の課題でもある0.5mmピッチのQFPの
実装についての理論的な解説です。

こうした微細なはんだ付けには大事な3つの要素がある・・
というお話でしたね。

今日お話しするのは、
1:表面実装は基板面(ランド面)から熱を供給する。
2:溶融したはんだの温度を250℃にコントロールする。
3:はんだの表面張力を利用する。

の3つの要素のうちの
2:溶融したはんだの温度を250℃にコントロールする。
です。

さて、先週ご紹介したQFPを実装している動画を
よくご覧いただくと、糸はんだの供給は、
コテ先を、最初に基板面に当てる直前に行われています。
(これは、先週もお伝えしましたね)

※もう一度観たい方のために念のため
 
   約3分(youtube)

で、コテ先が移動していく間は、一度も糸はんだが追加供給されずに、
そのまま、フィニッシュを迎えています。

・・ということは、最初に供給された糸はんだは、
溶融はんだとなって、ずっとコテ先に接触したままだと
いうことになります。

コテ先温度は約350℃に設定していますから、
普通に考えると、溶融はんだの温度はどんどん上がって、

350℃近くの温度となり、オーバーヒートを起こした上に
長時間加熱されたために酸化してしまうのではないか?

と考えられます。

ここで、先週の「コテ先を必ずランド面に当てて加熱する」と
「常に、ランド面を滑らせるように動く」

という動作が効果を現します。

コテ先と基板面(ランド面)の隙間に保持された溶融はんだは、
 

QFP1



冷たい基板面をゆっくり移動していくことで、
その温度を250℃に保っています。

※基板面から熱を奪われるからですね

さらに、コテ先と基板面(ランド面)のせまい隙間に保持されることで、
大気と触れる表面積を最小限に抑え、常に新しいフラックスと
接触することで酸化を防いでいます。

したがって、コテ先が「ランド面を滑らせるように動く」スピードは、
非常に重要であり、遅すぎると、溶融はんだの温度が上がりすぎ、
早すぎると熱不足に陥ることがわかります。

動画で注目する点は、コテ先の移動するスピードなんですね。

このスピードを体得すると、嘘のように、こうした
狭いピッチの多数リードの表面実装が簡単になります。

今まで、なんとなく出来ていた方も、この点を意識すると
さらに、実装の精度が上がります。


逆にこうした観点から考えると、コテ先が基板面から離れたり、
QFPのリード端子の上を移動してしまうと、
この微妙なバランスが崩れてしまうことがわかります。
(たいていショートします)


例えば、ラグ端子へのリード線はんだ付け作業では、
ラグ端子からは、他へどこへも熱が逃げるところがありませんので、
冷たい糸はんだを供給することで、溶融はんだの温度を250℃に
コントロールする意識が必要となり、

糸はんだの供給スピードが、はんだの仕上がり状態に
大きく影響します。


これが第二の要素です。


では、明るいはんだ付けを!