こんにちは、はんだ付け職人です。

今日は、極細の糸はんだのお話です。

「どうしても、上手くはんだ付けが出来ないのだが
一度見てもらえないか?」

というご相談を受けて、
先日お持ちいただいたサンプルがありました。
(鉛フリーはんだ仕様です)

0.5mm間隔で並ぶ端子を持つその部品は、
通信用に使われるもので、一見なんの変哲もありません。
(すみません。あまり詳しくは書けません)

ところが、その端子は部品の内部の金属プレートに
繋がっているらしく、通常のハンダゴテでは
まったくはんだを溶かすことができません。

余熱すれば、楽にはんだを溶かすことができますが、
作業性が犠牲になります。


オーケーインターナショナル(METCAL)さんの
高周波ハンダゴテや
//k.d.cbz.jp/t/7a06/a0pqn6x0ciyejafi7talI

HAKKOさんの窒素フローハンダゴテを使ってみても
//k.d.cbz.jp/t/7a06/a0pqo6x0ciyejafi7tWCv

はんだはなんとか溶けるものの
熱量が足りないために、母材が十分に温まらずに
溶かした糸はんだが、スムースに母材へ流れずに

コテ先のほうへ戻ってきてしまい、
団子状になってしまいます。

0.5mmピッチですので、コテ先は大きくできません。

「うーん・・これ以上熱容量を稼ぐ方法はないか?・・」

「そや!糸はんだを細くしてみよう!」

サンプルでは、SN100CのΦ0.3mm(日本スペリア社)
を使っておりましたが、(スズー銅ーニッケル Ge)

当社で持っていた、
ECOソルダーのΦ0.1mm、Φ0.2mm(千住を金属工業)を
久しぶりに棚から出してきました。(スズー銀ー銅)

9e788bc6.jpg

これのΦ0.2mmを使ってみると
はんだが、母材へスムースに流れていきます。

お客様にも試していただきましたが
「これならできそうです」との感想をいただきました。

糸はんだの
Φ0.3mmとΦ0.2mmでは、「違いなんかわからないだろう」と
思われがちですが、

最初の熱を伝えるための少量の糸はんだが溶かせるかどうかは
大きな違いを生みます。

もちろんΦ0.3mmとΦ0.5mm、Φ0.8mmなど
太い糸はんだでは、もっと顕著な違いが出てきます。

糸はんだの太さの選定は、意外に重要なので
頭の引き出しに仕舞っておいてほしい情報です。

現在、はんだメーカーさんから、鉛フリーはんだに関しては
Φ0.1mm、Φ0.2mmの糸はんだが、出ています。

(特注扱いで納期も1~2ヶ月掛かることもあります)
(値段は、重さではなく100mで¥13,000~¥25,000と高価)

共晶はんだの取扱は、ないと思います。

参考になりましたら幸いです。


では、明るいはんだ付けを!