こんにちは、はんだ付け職人です。

22日、23日は、当協会にて鉛フリーはんだの「はんだ付け検定」を
行いました。

そこで、受験者の方から質問をいくつか頂いたのですが、
その中に、核心をついたものがありました。

「はんだ付けに最適な250℃という温度は、
 どうやったらわかるのですか?」

というものです。

これは、はんだ付け作業中に溶けているはんだの温度が250℃に
なっているかどうかを、どうやって知れば良いかという質問です。

※なぜ、250℃が最適なのか?については、はんだ付け接合部の強度と
 接合温度の関係で明らかになっています。
 参照://k.d.cbz.jp/t/7a06/a0gpjuw0birykstfg2DpT

今まで、このメルマガでも断片的にはお話してきましたが、
ズバリ訊かれたのは初めてです。

ハンダゴテのコテ先の温度は見えませんし、溶けたハンダの温度、
母材の温度も見ることはできません。

したがって、いかに達人といえども、明確に
「今、250℃だ!」と認識して、
はんだ付け作業を行っているわけではありません。

では、はんだ付けの熟練者は何を基準に
はんだ付け部が最適温度になっているかどうかを
判断しているのでしょうか?


ある程度、はんだ付けを経験すると、

はんだが、ジワーッと濡れ広がり、
キレイなフィレットを形成する感じが掴めるようになります。

「あ~・・今なんか・・いい感じではんだが溶けて流れたな・・」
という感覚です。

実は、この時の温度が約250℃と考えてもらって間違いないです。

少しでも、はんだが溶けにくかったり、
逆に早く溶け過ぎたりする場合は、
いい感じの時と比べると違和感がありますのでわかります。

この感覚は、ある程度はんだ付けの経験が必要ですから、
まったくの初心者の場合には、違いがわからないのは無理もありません。

はんだ付けの経験者が尊ばれるのは、こうした一面があるからです。

ですので、いくらテキストではんだ付けを勉強しても
はんだ付けの技術は上達しません。
これはスポーツでも同じですね。

ただし、ここに映像が加わると、話が変わります。

それは、はんだが理想の状態で溶けて濡れ広がるイメージを
脳にインプットすることができるからです。


頭でイメージができるかどうか? というのは、
とても重要で、スポーツでも武道でも、

頭に相手や場面をイメージしながら練習を行うか、
単純に反復練習をするかでは、
上達のスピードがまったく異なることを私も体験しています。


以前、読んだ論文では、人間はまったく運動をしない状態でも
繰り返しイメージするだけで、そのイメージに合った運動のための筋肉量が
増加すると書かれてありました。
(学生さんを使った実験だそうです)

例えば、牢獄に繋がれていても、
ゴルフコースを歩いてゲームをしているイメージを
毎日行えば、ゴルフスイングのための筋肉が増加する・・
らしいのです。

正しいはんだ付けのイメージを頭にインプットしましょう。


では、明るいはんだ付けを!