こんにちは、はんだ付け職人です。
22日、23日は、当協会にて鉛フリーはんだの「はんだ付け検定」を
行いました。
そこで、受験者の方から質問をいくつか頂いたのですが、
その中に、核心をついたものがありました。
「はんだ付けに最適な250℃という温度は、
どうやったらわかるのですか?」
というものです。
これは、はんだ付け作業中に溶けているはんだの温度が250℃に
なっているかどうかを、どうやって知れば良いかという質問です。
※なぜ、250℃が最適なのか?については、はんだ付け接合部の強度と
接合温度の関係で明らかになっています。
参照:https://godhanda.co.jp/blog/52082940-2/
今まで、このメルマガでも断片的にはお話してきましたが、
ズバリ訊かれたのは初めてです。
ハンダゴテのコテ先の温度は見えませんし、溶けたハンダの温度、
母材の温度も見ることはできません。
したがって、いかに達人といえども、明確に
「今、250℃だ!」と認識して、
はんだ付け作業を行っているわけではありません。
では、はんだ付けの熟練者は何を基準に
はんだ付け部が最適温度になっているかどうかを
判断しているのでしょうか?
ある程度、はんだ付けを経験すると、
はんだが、ジワーッと濡れ広がり、
キレイなフィレットを形成する感じが掴めるようになります。
「あ~・・今なんか・・いい感じではんだが溶けて流れたな・・」
という感覚です。
実は、この時の温度が約250℃と考えてもらって間違いないです。
少しでも、はんだが溶けにくかったり、
逆に早く溶け過ぎたりする場合は、
いい感じの時と比べると違和感がありますのでわかります。
この感覚は、ある程度はんだ付けの経験が必要ですから、
まったくの初心者の場合には、違いがわからないのは無理もありません。
はんだ付けの経験者が尊ばれるのは、こうした一面があるからです。
ですので、いくらテキストではんだ付けを勉強しても
はんだ付けの技術は上達しません。
これはスポーツでも同じですね。
ただし、ここに映像が加わると、話が変わります。
それは、はんだが理想の状態で溶けて濡れ広がるイメージを
脳にインプットすることができるからです。
頭でイメージができるかどうか? というのは、
とても重要で、スポーツでも武道でも、
頭に相手や場面をイメージしながら練習を行うか、
単純に反復練習をするかでは、
上達のスピードがまったく異なることを私も体験しています。
以前、読んだ論文では、人間はまったく運動をしない状態でも
繰り返しイメージするだけで、そのイメージに合った運動のための筋肉量が
増加すると書かれてありました。
(学生さんを使った実験だそうです)
例えば、牢獄に繋がれていても、
ゴルフコースを歩いてゲームをしているイメージを
毎日行えば、ゴルフスイングのための筋肉が増加する・・
らしいのです。
正しいはんだ付けのイメージを頭にインプットしましょう。
では、明るいはんだ付けを!