こんにちは、はんだ付け職人です。

今日は、前回に引き続きコンデンサのネタです。
実は、弊社内でフィルムコンデンサを手実装中に不具合が発生しました。

写真はこちらです。

フィルムコンデンサのクラック

フィルムコンデンサのクラック

赤丸で囲ってある所の電極部にクラックが入っているのがわかるでしょうか?
実体顕微鏡で観察しても見逃してしまう可能性のある、わかりにくい不具合です。

ゴッドはんだでは、過去に同様の不具合を流出させたことがあり、
特に注意していたため、社内検査で発見し、部品交換して事なきを得ました。

さて、こちらの部品は「フィルムコンデンサ」という名称ですが、
見た目は、セラミックコンデンサやチップ抵抗とよく似ており、
さほど実装が難しそうには見えません。

なぜ、こんな不具合が起こったのでしょうか?

各コンデンサの特性

従来から使用されているフィルムコンデンサはラジアル型で、リードが付いているため
基板のスルーホールに挿入してはんだ付けしても、普通にはんだ付け出来ます。

こんなやつです。よく見ますね。

フィルムコンデンサ リード型


一方で、表面実装型のフィルムコンデンサは、こんなものです。
(panasonicさんや、misumiさんに画像お借りしました)

 

フィルムコンデンサ表面実装

フィルムコンデンサ表面実装


セラミックコンデンサに比較すると、角が立っており妖しい光沢があります。

違いはその構造にあります。
フィルムコンデンサは、プラスチックフィルムを絶縁体としたコンデンサで、
電極もアルミや亜鉛をプラスチックフィルムに蒸着して作られています。

ということは、本体部分も電極部分もプラスチックで出来ているわけです。
なので圧倒的に熱に弱い。

本体部分にコテ先が触れると融けますし、
ハンダゴテで実装する場合は、なるべく低い温度で、短時間で(でもはんだが馴染む条件で)
作業を完了させる必要があります。

(かなり上級レベルの技能が必要です)

中には、はんだ付けが不可とされており、導電性接着剤で実装するように
指定されているフィルムコンデンサもあります。

もし、実装で出会ったときは要注意です。


話は変わりまして、先日のメルマガで電解コンデンサのお話をしましたが、
タンタルコンデンサについて、
「タイマー回路では4~5年程度しか機能しなかったが、原因が不明だった」
とのメールをいただきました。

タンタル固体コンデンサは電解液を内包していないので液漏れなどの心配はありませんが、
初期故障が比較的多く、デリケートな部品です。

タンタルコンデンサ

タンタルコンデンサ

使用する電圧は定格電圧の50%以下に抑えたほうが良く、
電圧が高くなるほど、大きな電流を流すほど故障しやすくなります。

おそらく、この性質が短寿命の原因だったのではないかと思います。


知ってるようで、あまり知られていない豆知識でした。

お役に立てば幸いです。
では、明るいはんだ付けを!

 

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2019年9月26日記事リニューアル