作業例としては久々になってしまいました。
お茶@はんだ付け職人です。

弊社ではいろいろな基板を実装したり、リペアをしております。
例えばECU。
コンデンサの交換と液漏れで生じた腐食を修復して出荷しています。

古い車種で部品が出ない、部品が出ても高価すぎるといった場合にご相談頂く場合が多いようですが
今回の例はやや珍しいパターンです。

今回のご依頼品はこちらです。

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ECU自体は弊社もよく行う作業です。
いつもと違うのはすでにコンデンサが新品の高グレード品(125℃耐熱)に交換されていること。
ご依頼主様曰く

「ある業者にコンデンサーの交換をお願いしました。
焼けが見つかったにもかかわらず、5カ所コンデンサーを交換して、あとは知りませんとの事でした。」

では詳しく見てみましょう。

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この写真はコンデンサのはんだ付け部分なんですが…わかっていただけます?
はんだ付けしてフィレットごとリードを切断されています。
フィレットを切っているということははんだ付けした後で切っている証拠です。
ニッパーで切ったら切断した時に衝撃がありますよね。
その衝撃でハンダが剥離したりすることがあります。
また一番の問題はフィレットごと切断すると正しくはんだが馴染んでいるか証明できません。

※フィレットとは
 正しいハンダ付けを行った際にできる富士山のようなはんだの形状のこと
 温度が不足したりすると水滴型になる。

そして今回の根本原因はコチラになります。

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ご依頼主様のお問い合わせでは「焼け」と表現されていますが、回路が腐食しています。
ここだけではなく基板の反対側でも液漏れからの腐食。
ECUでよくあるパターンです。
コンデンサがどこに、どれがついていたかメモして作業を進めます。
コンデンサや抵抗器を一旦外して(メモや写真を忘れずに)腐食した回路を削り落として行きます。

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削りカスだらけですが、赤い線で示した部分にあるべきパターンがありません。
これでは正しく動かないわけです。
くるべき信号が来ないのですから。
コンデンサの電解液が漏れ出して基板に浸透したところに電気が流れるとこうなります。

少し場所が違いますが修正後はコチラ。

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断線してぶつ切りになった回路を細い銅線を使って修復していきます。
朽ち果ててしまい中継点がない場合や長距離の場合はショートしてはいけないので被覆のある線を使います。

そして外した部品を元に戻して作業終了です。

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ちゃんとフィレットが見て取れます。
ちゃんと馴染んでいる証拠がフィレットです。この裾野が大事なんです。
熱不足やはんだ過多だと丸くなります。

外観検査を実施して組み立てて出荷します。


後日、依頼主様のお手元に届いて動作確認のご連絡を頂きました。
動作確認の連絡の際に頂いたご依頼主様のメールをご紹介します。

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㈱ノセ精機 お茶@はんだ付け職人様

お世話になります。
動作確認してみたところ、見事に動きました!
若干アイドリングが低いですが、全く使えない状態からの復活ですので、感動しております。
また何かありましたら、是非とも、よろしくお願い致します。
この度は、誠にありがとうございました。

依頼主 

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ICがやられてしまっていると治らない場合もありますが、
コンデンサのパンクや回路の断線なら根気よく正しく作業すれば治ります。

ECUのコンデンサ交換費用につきましては¥16,000円程度見ていただいています。
コンデンサの液漏れによる腐食での断線修理(1箇所税別¥500円)の数で
同じ型番のECUであっても大きく差ができてしまうことがあるからです。

費用の内容としては
【こってりコース】
¥12,000円(作業代)+¥1,000円(送料)+消費税

別途
 部品代
 回路修復(¥500円×箇所数)
 代引き手数料(代引きの場合)

以上のようになります。

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