こんにちは、はんだ付け職人です。
さて、今週は、昔当社で起こった
フラックスが原因となる電気特性不良を
紹介してみます。
WEBや書籍、DVDのはんだ付け講座でも
活性化していないフラックスは
電気的導通があり、
腐食作用があるので、
使いすぎはよくない・・
というお話をしているのですが
まさに、これを地でいく実例がありました。
当時、当社ではフォトマイクロセンサを
生産しており、
30,000個/日の製造を行っていました。
大量生産ですので、
自動DIP槽を使っておりましたが
フラックスは
発泡管を使った
泡による全面塗布を行っていました。
(ビールの泡を塗りつける・・みたい感じです)
電気的な特性不良が、
毎日数%発生するような状況でしたが
はんだ付けには問題がなく
原因不明のまま
生産を続けていました。
ある日、不良品を分解して
基板に密着したフォトICを取り外したとき
蜂蜜のようにベトッとしたフラックスが
基板とフォトICの間に残っているのに
気がつきました。
「もしかして・・」と
この蜂蜜状のフラックスをふき取って
再度組み立てると、電気的特性は直っていました。
原因は、密着した基板とフォトICの
わずかな隙間に、毛細管現象で入り込んだ
フラックスが、活性化せずに残り
リークしていたことにありました。
特に高周波回路の場合は、リード線の長さも
特性に影響を与えますから、
基板に部品を密着させることがあります。
こうした部品は、工数が掛かってしまいますが
DIPはんだ工程の後に、ハンダゴテで
手はんだ付けするなどの改良を考えることも必要です。
また、手はんだの場合でも、
安易にフラックスを多用すると
このような、不具合を引き起こす可能性があります。
「活性化していないフラックスは、電気的導通があり・・」
という話は、こうした体験から
生まれたものでした。
では、明るいハンダ付けを!