こんにちは、はんだ付け職人です。

今週は、一度は聞いたことがあるかもしれない
「ウィスカ(whisker)」についてのお話です。

私自身もちょくちょく話には聞くものの
「あー・・そういうものかな?・・」

程度に聞き流してましたので、今回ちょっと調べてきました。
ウィスカの写真は、NASAにたくさんありました。
参照
//nepp.nasa.gov/whisker/photos/index.html

ウィスカというのは、そもそもまったく格子欠陥がない結晶
のことを言います。

またウィスカは、ある結晶方向に沿って、針状に成長するため
猫のひげ(Whisker)から命名されたそうです。

このウィスカが注目を浴びたのは、ニューヨークで電話線の
ケーブルの銅線にメッキされたSn(スズ)から

高純度のSn結晶が、ケーブルの被覆を突き破って針状に
成長して絶縁不良を起こしたことにあったそうです。

参考文献:「ハンダ付け用語辞典」川口虎之輔 著(日本アルミット)


Sn(スズ)とCu(銅)の界面に発生することが多く
Sn-Cuの組み合わせは、特にはんだ付けに深い関わりがあります。

Cuに施されたSnメッキに内部応力が掛かると、その応力を逃がす
ために、ウィスカが発生するような解説がなされています。

この応力は、そもそもメッキを施すだけでも発生するようで、
温度変化による熱膨張の差によっても、応力を発生します。

また、Sn-Cuの組み合わせだけでなく、いろいろな組み合わせで
ウィスカが発生するようで、さまざまな発生の要因があり

一概に、「こうすればウィスカの発生を防げる!」という対策は
まだ、見つかっていないようです。

ただ、いくつかの提案はあるようで、

・Snメッキの下にNiのアンダーコートを入れる
・あらかじめCu6Sn5を界面に均一に形成しておく
・Pb(鉛)の添加(共晶ハンダでは起こりにくい)
・Snメッキの厚さを10μm以上にする
・酸化膜を制御して施す

などが紹介されています。

参考文献:「はじめての鉛フリーはんだ付けの信頼性」菅沼克昭 著
     (工業調査会)






ちょっと、まだ我々のような現場サイドには手を出せるような
領域の話ではないようですが、もし、不良の発生原因がウィスカに
あるような場合は、参考にされてください。

では、明るいハンダ付けを!