c0d5369c.jpgこんにちは、はんだ付け職人です。

先週から書き始めた「ハンダゴテの選び方」のつづきです。ホームセンター
などで安価に購入(1000~3000円)できるハンダゴテは、コテ先温度が
高すぎることが問題だと先週お話しました。

もうひとつの問題は、一般の方がハンダゴテを購入しようとした場合、
こうしたハンダゴテしか選べなくなっていることです。

実はハンダゴテメーカーは、たくさんのハンダゴテを開発しています。
カタログを見てもらうとわかるのですが、たとえばHAKKOさんですと
ハンダゴテの種類だけで35種類、その各ハンダゴテに対してコテ先がそれぞれ
10~25種類もあります。

ハンダゴテのメーカーは国内で販売されているだけでも20社程度はあるはず
ですから、膨大な数の組み合わせがあることがわかると思います。

本来、自分のハンダ付けの用途に合わせて、メーカー、ハンダゴテの機種、
コテ先の形状を選んでいただくのが正しいありかたです。

ところが現状は、こうした選び方をできる方・・というのは、かなり少なくて
たいていは、
1:ホームセンターに並んでいる中から、良さそうなものを選ぶ
2:工具屋さんや商社さんに勧められるまま
3:お客さんが指定している

・・のではないでしょうか。

こうした環境に置かれているハンダ付け業界の根本的な原因は、
「ハンダ付けに対する正しい知識」の啓蒙不足にある。と私は考えています。

世間のハンダ付けに対する知識というのは20~30年前から変わっていません。
このため、せっかくハンダゴテメーカーが、いいハンダゴテを作って店頭に
並べても、お客さんに「良いハンダゴテ」に対する知識が無いために、安い
ハンダゴテしか売れません。

そこでハンダゴテメーカーは商社さんを通して、電機メーカーへ売り込む
わけですが、ここでも通常商社マンには、ハンダ付けに対する教育は行われて
いませんので、販売の際にハンダ付けの本質的な話をする機会はありません。

また、最近では電機メーカーでもハンダ付けに対する教育が施されている所は
少ないです。

さらに、学校教育の場では「ハンダ付けとはなんぞや?」ということを教えて
くれるところはほとんどありません。(先生方自身も勉強する機会がない。)

この背景には、「ハンダ付けの教科書がない」という一面もあります。
(あっても、発行が20年前だったり、絶版になっていたり)

ハンダゴテはこの数年で大きく進化しています。

昔のように部品が大きくて、金物端子が主流だった時代はなんとかなりましたが
現在のように、部品が小型化し密集した上、熱に弱い電子部品などが使われている
基板に昔のハンダゴテを使うのは無理があります。

オリンピックのマラソン競技にゴム長靴を履いて出場するくらい無理があります。

と長い前置きになりましたが、来週は具体的にハンダゴテを選んでみましょう。


では、明るいハンダ付けを!