こんにちは、はんだ付け職人です
今週は、ちょっと趣向を変えまして先日のハンダ付けセミナーで
私が学んできたことを紹介しようと思います。
講師の先生は、実装技術アドバイザー 河合 一男 氏。
国内外で活躍されている先生です。
セミナーの内容は、主に鉛フリーハンダ導入におけるリフローハンダ付け
に関するものでしたが、本来2日間掛けて行う講習内容を3時間ほどで飛
ばして講義していただきましたので、たいへん濃い時間でした。
リフローハンダ中心とはいえ、結構手ハンダ付けでよくある誤解と共通する
部分がありまして興味深かったです。
ひとつ例を挙げますと、私はハンダコテでのハンダ付けでも鉛フリーハンダを使
用する際、融点が高くなっても「コテ先温度は360℃くらいが限界ですよ。」
といった話を何度かしているんですが、
リフローハンダ付けやフローハンダ付けでも同じような誤解から「鉛フリー
ハンダの融点が高いからといってリフローの温度条件を高くしてはいけないよ。」
という話がありました。
根本的には、「メーカー推奨の温度プロファイルはフラックスの特性のことを
考慮していない。」という原因があるんですが、リフロー炉の温度を上げると
逆にハンダが溶けない・・。といった現象が起こるんですね。
・・で溶けないから、ますます温度を上げてしまう。といった悪循環に
陥ってしまう・・。(これハンダコテにもよくある話です。)
また他にも詳しくは書けませんが、
リフロー炉は3ゾーンもあれば十分だ。
(長すぎて不良が発生している)
耐熱性FLUXを使うの愚。
(共晶用のFLUXを使えば不良は発生しない。)
最新エアーリフロー炉のフラックスの特性から見た欠点。
鉛フリーハンダ実装は鉛入りハンダよりずっと簡単だ。
(セルフアライメントの効用)
フラックス残渣による解析。
ボイドやボールの対策
フローハンダ付けにおけるブローホールや スルーホールのハンダ上がり
不足、ブリッジへの対策。
ハンダコテのコテ先の選定と【はさみハンダ】の効用。
・・など次々に従来の常識にとらわれない改善方法が紹介されまして
目からウロコがポロポロ落ちました。
特筆すべきは、ディスクリート部品のリフローによる実装(フローじゃな
いですよ。)なんですが、鉛フリーハンダとフラックスの特性をよく理解
していればできてしまうんですね。
「これから流行ると思いますよ。」と先生もおっしゃってましたが、確か
にコストと工数削減の画期的な手法だと感じました。
また、余談になるかもしれませんが
「せっかくアドバイスしてもISOや建て前論、責任を誰が取るの?的な
障壁があって国内では採用されないことがよくある。」「現在のハンダ付
け環境はメーカー間の特許紛争で歪められている。」と嘆いておられました。
これは、私も常々感じていることでして、だからこそ「正しいハンダ付け
知識を広めよう。」と日々奮闘しているわけなんですが「まだまだ、勉強
不足だな・・。」と感じた一日でした。