こんにちは、はんだ付け職人です
今週は、手はんだ付けに関する話題です。よくあるリード線のハンダ付け
の話ですが、意外な盲点があって、重大なクレームに発生することもあるので
少しお付き合いください。
リード線を基板や金属端子、コネクタの端子などにハンダ付けした箇所で
発熱して発火したり発煙したりする原因のひとつです。
結論から言うと、単純にハンダ付けの際の熱不足です。量産品のハンダ付けで
時間効率ばかりを追求すると発生しやすくなります。
たとえば、発生しやすいのはDサブコネクタなどの端子に予備ハンダを
しておいて、そこに予備ハンダしないリード線を差し込んでハンダ付けする
場合などです。
リード線は細い銅線がよってできていますね。このリード線の太さが太くなれば
なるほど、銅線の断面の中央部と外周部には熱が伝わりにくくなります。
したがって、熱が入分に供給されないと、ハンダはより線の外周部だけにしか
染み込まず、内部には浸透しません。ところが、フラックスは約90℃程度で
液状化するため、より線の内部にまで浸透していきます。
このフラックスの活性剤がより線の内部から銅線を腐食させます。
たまに見かけますね。古いハーネスのコネクタ部の接続部分のリードの被覆を
剥いてみると銅線が10cm近くも緑色に腐食していることがあります。
これでは、より線の隣り合う細い銅線同士が接触していても、電気的
導通が取れません。
このように、より線の外周部でしかハンダ付け接合されていない場合、
リード線と端子との接合面積は、内部までハンダが浸透している場合に
比べると、ずっと小さくなります。
ハンダは、銅に比べるとの電気伝導率は10%程度しかありませんから
端子との接合箇所で、電気抵抗が増してジュール熱が発生することになります。
熱が発生するとさらに腐食が進みますから、やがて発煙するほどに高熱を
発するわけですね。
リード線などのハンダ付けでは、一瞬にパッとハンダ付けを完了するのが
職人仕事みたいでかっこよく、仕事の効率もいいように思ってしまいますが
十分、内部にまでハンダが浸透するまで加熱をするのが正解です。
リード線へ予備ハンダする意味もこのあたりにあります。
では、今週はこのあたりで・・。
明るいハンダ付けを!