去る5月末日、突然謎の荷物がゴッドはんだに届けられました。

本来だとメールや電話でお問い合わせを頂いてから修理等のご依頼品が届くのですが、
恐る恐る開封すると中には直筆の手紙とご依頼品が入っていました。

 

※ ※ ※ ※ ※ ※(以下抜粋)※ ※ ※ ※ ※ ※

<<基板修理依頼>>

4本のうち2本が充電できない。

今後、このような充電器は出現しないと思われる。

本当に末永く使用したいのでぜひとも復活させたい。

予防修理希望(コンデンサなど)

数万円かかろうが市販代替え品が無いからかまわない。。。。。。。

※ ※ ※ ※ ※ ※(以上)※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

なんとも熱い内容です。

早速動作状態を確認したところ、ご依頼のとおり上段の2個が全く反応しませんでした。

また、裏面には「2004年購入」と記されています。

?と、言うことは既に16年前の製品ということになりますか。

家電製品は一般的に10~15年で寿命がくるもので
(これにはちゃんとした理由があります)正直言って直るかどうか全く未知の領域でした。

まずはメーカー情報をと、ググってみたのですが既に製造していた会社は無く、
しかも数千台の限定生産品ではないですか!(レアすぎます‼)

しかしやるしかありません。意を決して分解を始めました。

 

←分解開始

 

 ←基板表側(裏表に部品がいっぱいです)

 

一般的な充電器に比べてなんと部品の多いこと!

さらに放熱板(銅板)やら排熱用のファンまで付いているではありませんか・・・・・難儀です。

とりあえず基板やコンデンサを重点的に観察して調査したところ、

基板パターンの一部に腐食が進行しており、コンデンサの液漏れやLEDの破損(断線)を確認しました。

ご依頼にもありましたが今回は故障の修理(故障修理編)と今後故障するかもしれないので

予防をする(予防修理編)という意味で2編に分けて作業を行いました。

 

【故障修理編】(テクノコアインターナショナル) TCS-40A

充電できない故障に対して修理を行います。

しかし、取扱説明書も無く、メーカーに問い合わせることもできず、

まずは正常な動作がどういうものであるのかを調べる必要がありました。

現代は大変便利な時代でインターネットで調べるといろいろな情報を見つけることができます。

そして、この充電器の素晴らしさに驚きとともに感銘を受けたのも事実です。

16年も前にこのような充電器が日本に存在していたとは!驚愕です。

充電時間は数時間、充電回数は約500回、充電電池が熱くなるのは当たり前。

これが一般世間の充電器です。

ところが、このTCS-40Aは充電時間約15分、充電回数2000回以上、充電電池は熱くならない。。。

??なんなんだこの充電器は??

もしかするととんでもない代物かも。

調べて行けば行くほど特許だらけのとんでもない充電器であることがわかりました。

(この時点で直る確率は50%以下です。自信が無くなりましたので。。。)

←腐食しています

 

←酸化物を削り落として

 

←はんだメッキします

 

手始めは基板の腐食したパターンの修復です。パターンの銅が真っ黒になって酸化しており

腐食が進行中でしたので銅箔パターンを削り、はんだメッキしてレジストで保護します。

液漏れしたコンデンサの近くのパターンは大抵腐食しているので

変色している部分のコンデンサを交換し、断線していたLEDも交換しました。

これで何か応答してくれれば直せる確率が上がるのですが。。。。

ショートしていない事を確認してAC100Vを投入しました。

おっ!LEDが点灯して何やら動作しはじめているではありませんか‼

「これはいけるぞ!」一気に確率が上がり内心喜びました。

早速、充電電池を4本セットして充電開始です。正常に動作しています。

充電器が健気にみえて可愛く感じられました。

「復活してくれて良かった」これがこの時の全ての気持ちです。

(ここまでの作業に実はけっこうな時間をかけてしまいました。社長の顔色を伺いながらこの先を続けます。。。)

 

【予防修理編】(テクノコアインターナショナル) TCS-40A

動作が正常であることを確認したのち、
次に発生するであろう電解コンデンサの液漏れを予防するため全ての電解コンデンサを交換しました。

予防で交換したコンデンサは液漏れしていませんが基板に悪影響が無いか確認。

故障修理では2個でしたが予防では14個の電解コンデンサ交換しました。

そして再度電源を投入し、充電電池の充電動作に問題ない事を確認。全て完了です。

 

↑元気に動作する復活したTCS-40A!「実に素晴らしい‼」

 

動作中LEDが4本の充電電池を充電しては確認し、また繰り返し行っている姿は

まるで電池の具合を看て回る看護師の様で
「なんて(電池に対して)優しいんだ」と心から思いました。

私の場合、手掛けた修理品全般に関して完了したお品に対してはいつも感情移入してしまい、

作業を完了した際には「元気で!」と心で声をかけるのですが、

今回のTCS-40Aに関しては今までとは違った感情が湧いてきました。

「復活してくれてありがとう」。

 

発売当時の価格は8,000円(安い!)だったとのことですが、

今ここに復活(今回の作業費用は21,714円 税込み)することができました。

「たかが充電器、されど充電器」。TCS-40Aには完成された美しさを感じます。

正直言って私もこの充電器が欲しくなりました。