こんにちは、はんだ付け職人です。
今日は、リード線(より線)の損傷についてのお話です。

カップ端子ok1













カップOK2















例えば、ケーブルをコネクタにはんだ付けする場合に、
ワイヤーストリッパーやカッターナイフで
リード線の絶縁被覆を剥きますが、

この際、「芯線が何本か切れちゃいましたが、
やり直したほうがいいですか?」
というご質問をよく受けます。

極端な例ですが、写真を例示します。
http://www.soldering-guide.com/archives/52366044.html

ワイヤーストリッパーの選択や、使い方によっては、
このようなリード線(より線)の芯線の切断や傷は、
よく発生します。

このとき、「1本でも切れたらNGなのか?」
「何本かまでは切れてもOKなのか?」

という基準について迷う方が多いようです。


実は、この答えについては、先週の
「部品のリードは、はんだ付けの前に切る?後に切る?」
のお話と同様、品質レベルの違いによる許容範囲に
差があります。

例えば、ご覧いただいた写真のリード線は
より線の本数が17本なのですが、

先週もご紹介したIPC(米国電子回路協会)が制定した
電子回路基板材料の性能に関する規格によると、

家電品に代表されるような一般的な
エレクトロニクス製品の場合や、
産業機器(特定用途エレクトロニクス製品)ですと、3本までは
切断、損傷、削れが許容されています。

ところが、人命にかかわる様な、
航空、宇宙、防衛、重電機、鉄道など
(高性能エレクトロニクス製品)においては、

予備はんだを施さない場合は、0本。
予備はんだを施す場合でも、2本。

と許容範囲が小さくなっています。

たいていの場合、厳しい基準に合わせておくほうが
無難ですので、「傷、切れなど無き事」とされることが多く、
まったく許されないと考えている方も多いと思いますが、

自社の製造している製品の分野によっては、
まったく許容されないわけではないことを
知っておいて損はないと思います。

では、明るいはんだ付けを!