こんにちは、はんだ付け職人です。

今日は、鉛フリーはんだを使った
キャノンコネクタやDsubコネクタのカップ端子に、
リード線をはんだ付けする際のお話です。

過去に予備はんだの考察としてお話したことがあり、
鉛フリーハンダ「コネクタ・ケーブル特集」(DVD)でも
お話している内容なのですが、

Dsubコネクタへのはんだ付け等の実技講習の際
必ず質問されるお話です。

というのも、鉛フリーはんだを使用する際は、

1:予備はんだをリード線だけに施す。
2:カップ端子には予備はんだしない。

という方法を推奨しています。

ところが、長年共晶はんだを使ってこられたベテランの方は
コネクタのカップ端子とリード線の両方に予備はんだを施してから

両方のはんだを溶かして馴染ませる方法のほうが
「作業性に優れているはずだ」

とおっしゃる方が多く、「こっちのやり方でやらせてくれ」
という話になりがちです。

参照:Dsubコネクタと リード線に予備はんだ
ところが、実際に両方に予備はんだを施す方法で
はんだ付けしてもらうと、

はんだ量が多すぎたり、オーバーヒートしたり、
はんだが馴染んでいなかったりする不良が多発します。


これはなぜか?と考えますと、
2つ理由があります。

1:再加熱時に予備はんだ分の熱容量がさらに必要となる。

鉛フリーはんだを使用する場合、ハンダゴテの持つ熱容量は
ほとんど余裕のないケースが多く、

カップ端子に予備はんだを
施すと、予備はんだ分の体積が母材に追加されるため、
より多くの熱容量を必要とします。

このため、再度、カップ端子に施された予備はんだを溶かすのに
時間を要してしまいます。


2:フラックスは約70℃で溶け始め、約110℃で活性化します。

予備はんだの際に、フラックスはほとんど残っていないか、
残ったとしても再加熱時にはんだが溶ける前に蒸発してしまいます。


こうした2つの不利な条件があるため、
両方に予備はんだを施す方法では、

正常なはんだ付けを行うことが極めて難しく、
ベテランの方でもなかなか上手くいかないのが現実です。


一方の、リード線だけに予備はんだを施す方法では、
予備はんだを施したリード線を、カップ端子に挿入して

固定してやる手間は掛かりますが、
新しい糸はんだを供給しながらはんだ付けを行いますので

初級者でも失敗しにくい点が優れています。
参考になれば幸いです。


では、明るいはんだ付けを!