こんにちは、はんだ付け職人です。

今週は、はんだ付け不良の正しい
修理方法についてのお話です。

普段はんだ付け作業に携わっておられる方は、
経験的に実感されていると思いますが、

電気的な故障として発生する
不良品や、クレームの多くは、

はんだ付け修理(手直し)をした箇所ではないでしょうか。

ちょうど、
このような経験を裏打ちする文章を見つけました。

はんだ付け作業のトラブル対策―事例にみる (単行本)
田中 和吉 (著) 昭和59年2月
(もう廃刊かな・・)

———以下引用————————————–
NASAの筆記試験問題に、こんな例がある。
不具合はんだ付けを修理するのに、
どうしたら良いか、

次の4つの
中から正しいものを選びなさい。

1:エチルアルコールで洗浄して、再はんだ付けする。
2:はんだを追加する。
3:ウィッキングによりハンダを除去してから再はんだ付けする。
4:前記の3例のうちどれでも良い。

もちろん正しい回答は 3 である。

————–引用ここまで—————————–

というものです。

和吉先生は、
続いてこの理由を解説されていますが、

要はハンダを
除去しないハンダの追加は、
ハンダ量が過剰になりやすく、

母材の酸化などの不濡れの原因を隠蔽していまい、
ハンダの濡れの状況が

判断できなくなってしまうため、
最も危険である・・
とおっしゃってます。

また、はんだは加熱時間が長くなると
合金層が厚くなって
逆に脆くなる性質があるうえ、

はんだの拡散も進行するため
不適当な化合物が生成されることになり

修理前より悪い状態になることが多い・・
とおっしゃってます。

したがって、自動機ではんだ付けされた基板の
ハンダ不良を人海戦術で機械的に、

ツララやツノの修正、
ハンダを追加するのは、
結構危険なことである。

・・と認識したほうが良いですね。

見た目はキレイになっていても、
加熱時間の長期化は
合金層を劣化の方向に進めます。

本来、再加熱しても良い不良は、
熱容量不足による濡れ不良だけである・・

というふうに理解しておいて、
修正作業の際に

「これは、このままハンダを追加するだけではダメだな・・」
と判断できるようにしておきたいですね。

では、明るいハンダ付けを!