こんにちは、はんだ付け職人です。
さて、今週はハンダゴテを使ったハンダ付け動作を詳しく
分解して解説してみます。
と言うのも、見よう見真似でハンダ付け作業をやられる方々が
もっとも誤解をされやすいところでもあるからです。
WEBのハンダ付け講座や,DVDのハンダ付け講座では
「シャドーハンダ」と銘打って、ハンダ付けの基本動作を4つに
分解しましたね。
実は、ベテランのハンダ付け職人さんのハンダ付け作業は、もう少し
細かく分解することができます。
1:熱くなったコテ先を当て、母材を温める。
(ここはシャドーハンダ”1”と同じですね。)
2:糸ハンダを少量だけコテ先に当てて溶かし、フラックスを
供給し母材を浄化する。
(この部分を見ると、コテ先に直接糸ハンダを当てて溶かして
いるように見えてしまいます。)
3:糸ハンダの供給はいったん止めます。少量のハンダが
コテ先と母材との接触部に入り込み、熱を伝えやすくします。
ここで、十分に母材を温めます。この本加熱の時間は、
母材の熱容量によって大きく変わります。
(熱容量の小さな母材では、一瞬で温まるため見逃してしまう動作です。)
特にこの部分が誤解を生じさせやすいところですが、
条件によっては、2を一番先に行ったりする場合があります。
この条件とは、コテ先と母材の接触面積が十分に取れない場合
なんですが、点でしか接触させることが出来ない場合は
意識的に、少量の糸ハンダをコテ先に溶かし付けて、母材に熱を
伝えやすくします。
このあたりの作業を、ハンダ付け作業をよく理解していない方が
見ると、単純にコテ先に糸ハンダを当てて糸ハンダを溶かしているように
見えてしまいます。
小さな母材の場合なんかだと、動作が速いので
「手が震えて糸ハンダがチョンチョンと当たっているのかと思いました・・」
などと誤解してしまうことになります。
(大笑いしました・・)
この後、
4:フラックスが母材を覆い、はんだの融点を超えるまで母材の温度が
上がったのを見計らって、糸ハンダを供給します。
5:ハンダ量をコントロールして、糸ハンダの供給を止めます。
この部分は、シャドーハンダの”3”と同じです。
6:糸ハンダの供給を止めても、すぐにコテ先は離脱せずにハンダと
母材の間に合金層が形成されるのを待ちます。
このとき、ハンダはジワッとフィレットを形成します。
7:コテ先を離脱します。この部分が、シャドーハンダの”4”と同じです。
8:母材を動かさないようにハンダが固まるのを待つ。
いかがでしょうか? 単純に「溶かして固めている」だけでは
ないですね。
ハンダ付けが、ハンダゴテ、コテ先、コテ先温度、糸ハンダ、
フラックス、母材など、いろいろな要素が複合して行われていることが
わかると思います。
こうしたことを頭に置いて、はんだ付けの練習を行なうことで、
ハンダ付け技術の上達スピードはグンと上がります。
では、明るいはんだ付けを!