837c5900.jpgこんにちは、はんだ付け職人です。

今週は、ハンダゴテの選び方についてお話します。
「今さらなんでやねん?」という意見もありそうですが

先日のセミナーで、あまりにも皆さんハンダコテ選びに無頓着なのに
驚いてしまいまして、お話しする必然性を感じてしまいました。

企業の製造の方は、ある程度いいものをお使いでしょうが、それでも
保守などで出張修理される方などは特に注意が必要です。

まずは、一番多いのが

1・持ち運びに便利だ
2・安い
3・ハンダゴテが悪くても腕でカバーできる

という理由で、1000円~2000円程度のハンダゴテを使っておられる方です。
中には「20年前からこれ使ってる・・」という方も居られます。

最近では100円ショップにもハンダゴテが売っていますから
「これなら上等だ・・」と思われるのかもしれません。

こうしたハンダゴテには、ニクロム線ヒーターだけでなく
セラミックヒーターが使われているものもあるのですが、コテ先温度の
調整機能があるものは皆無です。

で・・一番問題なのはその【コテ先温度】です。先日のセミナーでも
いろいろなハンダゴテのコテ先温度を実測したのですが、なんと550℃の
温度を叩きだしたすごいハンダゴテもありました。

こういうハンダゴテは、電源を入れた時点で既にコテ先が赤や紫の酸化膜に
覆われており、ハンダを弾くばかりでなく、一瞬でフラックスが蒸発して
焼けてしまうため、まともなハンダ付けはできません。

もし腕でカバーするとなると、濡れ雑巾で、ジューッ!とコテ先を掃除しながら
温度を下げておいて、コテ先温度が上昇するまでの短い時間で、ハンダ付けを
完了する・・。といった技が必要になります。

でも残念ながらこれでは、良好な合金層を作り出すだけの時間が取れないですね。

にもかかわらず、こうしたハンダゴテはまるで、温度が高くなることを、「ハイ
パワーで、高性能の証である」かのように、パーッケージに表示しています。

ホームセンターなどでは、こうしたハンダゴテがズラリと並んでいることも
あって、初心者の方が誤解しやすい環境になっています。

くれぐれも、だまされないようにしてください。

ハンダゴテのコテ先温度は約350℃程度が適温です。次回はハンダゴテ選びの
続きです。


では、明るいハンダ付けを!