こんにちは、はんだ付け職人です。
今週は、ハンダゴテの選び方についてお話します。
「今さらなんでやねん?」という意見もありそうですが
先日のセミナーで、あまりにも皆さんハンダコテ選びに無頓着なのに
驚いてしまいまして、お話しする必然性を感じてしまいました。
企業の製造の方は、ある程度いいものをお使いでしょうが、それでも
保守などで出張修理される方などは特に注意が必要です。
まずは、一番多いのが
1・持ち運びに便利だ
2・安い
3・ハンダゴテが悪くても腕でカバーできる
という理由で、1000円~2000円程度のハンダゴテを使っておられる方です。
中には「20年前からこれ使ってる・・」という方も居られます。
最近では100円ショップにもハンダゴテが売っていますから
「これなら上等だ・・」と思われるのかもしれません。
こうしたハンダゴテには、ニクロム線ヒーターだけでなく
セラミックヒーターが使われているものもあるのですが、コテ先温度の
調整機能があるものは皆無です。
で・・一番問題なのはその【コテ先温度】です。先日のセミナーでも
いろいろなハンダゴテのコテ先温度を実測したのですが、なんと550℃の
温度を叩きだしたすごいハンダゴテもありました。
こういうハンダゴテは、電源を入れた時点で既にコテ先が赤や紫の酸化膜に
覆われており、ハンダを弾くばかりでなく、一瞬でフラックスが蒸発して
焼けてしまうため、まともなハンダ付けはできません。
もし腕でカバーするとなると、濡れ雑巾で、ジューッ!とコテ先を掃除しながら
温度を下げておいて、コテ先温度が上昇するまでの短い時間で、ハンダ付けを
完了する・・。といった技が必要になります。
でも残念ながらこれでは、良好な合金層を作り出すだけの時間が取れないですね。
にもかかわらず、こうしたハンダゴテはまるで、温度が高くなることを、「ハイ
パワーで、高性能の証である」かのように、パッケージに表示しています。
ホームセンターなどでは、こうしたハンダゴテがズラリと並んでいることも
あって、初心者の方が誤解しやすい環境になっています。
くれぐれも、だまされないようにしてください。
ハンダゴテのコテ先温度は約350℃程度が適温です。次回はハンダゴテ選びの
続きです。
では、明るいハンダ付けを!