こんにちは、はんだ付け職人です
先週の鉛フリーハンダの仕上がり状態からさらに進みまして
典型的な熱不足によるイモハンダを観ていただきましょう。
またまた、先にブログに写真をUPしておきました。
鉛フリーハンダは、粘度が高く、熱容量を多く必要とするので
熱不足に陥りやすいため、イモハンダになりやすいので注意が必要です。
ブログの写真は、鉛フリーハンダで発生しやすいイモハンダの典型的な
例です。従来の共晶ハンダに慣れた人が、共晶ハンダと同じような条件
でハンダ付けを行うと、このようなイモハンダが発生します。
「鉛フリーだからしょうがないや・・」
と、このままOKとされている会社さんもすくなくありません。
実は、少し糸ハンダやコテ先の条件を変えてやることで写真左のような
正常なハンダ付けを行うことができます。
このメルマガでも何度もお話している【熱容量】的な考えを基に、少し
改善を行います。
その前に、鉛フリーハンダでのハンダ付けが「なぜ、むずかしく感じる
のか?」について考えてみると、
1: ハンダが、なかなか溶けない
2: ハンダが、流れない(濡れ広がらない)
3: 富士山型のフィレットが形成されず、丸くなってしまう。
4: 手直しが難しい
といった点が挙げられるかと思います。「この原因は何か?」 について
考えてみると、鉛フリーハンダの持つ材料の性質も大きいですが、一番の
原因は、共晶ハンダとの融点の差に起因する熱容量の差にあると言えます。
ハンダコテを用いてハンダ付けを行う際には、コテ先の温度を母材と糸ハ
ンダへ熱伝導により伝えて、母材と糸ハンダの温度を融点より高くする必
要があります。
コテ先の温度も母材に触れた瞬間、母材に熱を奪われて下がります。
ハンダコテや母材の条件がまったく同じとして、共晶ハンダと鉛フリーハ
ンダを使った場合の熱容量の差は、
(母材+糸ハンダ+コテ先)の体積×融点の差(217℃-183℃)
となります。
したがって、単純に融点の差34℃コテ先の温度を上げるだけでは、コテ
先の体積分の熱容量しかまかなえませんので、母材と糸ハンダの体積分の
熱容量が不足することになります。
ここまではOKでしょうか?
長くなりますので、続きは来週に・・。
では、明るいハンダ付けを!