1d7452ba.jpgこんにちは、はんだ付け職人です

先週から鉛フリーはんだについてのお話をしていますが、まずは
なぜ鉛を使わない鉛フリー(Pbフリー)ハンダが使われるように
なってきたのか? その背景を説明しておきます。

現在、地球上にあるほとんどの電気製品にはプリント基板が使われ
ています。従来、プリント基板には電子部品の接合のために鉛が
40%含まれている共晶ハンダが使われてきました。

電気製品は古くなって使えなくなると、ほとんどの場合、燃えない
ゴミとして埋め立て処理によって廃棄されてきました。
 
ところが近年、酸性雨が問題になっていますが、この酸性雨が地面
に染み込んでいきますと、これらの埋め立てられたプリント基板か
ら酸性の水が鉛成分を溶出していることがわかってきました。

溶け出した鉛は地下水に入りこみ河川や土壌を汚染していきます。
そして、汚染された地下水や河川、土壌からは飲料水や動植物へと
鉛が取り込まれ、最終的には人体に取り込まれて蓄積していきます。

人体に取り込まれた鉛は、特に胎児への影響が大きく神経障害、知
能低下、成長障害などの深刻な影響を与えることが知られています。
 
そこで、鉛を含まないハンダが必要とされるようになったわけですね。


・・というのが、私も著書に書いている一般論です。

妊婦さんはもちろん鉛を避けたほうがよく、鉛を直接口に入れて舐め
たりするのは論外ですが、医学的には「ハンダ付けの鉛が体に悪影響
を及ぼす」・・については疑問符がつくようです。

もちろん、人体へ悪影響を及ぼす可能性については否定できませんが
他の環境問題などと同様、一部のメーカーや団体のお金儲けが絡んで
いると思われます。(捕鯨などと共通するところあります)

また、欧米諸国がアジアからの安くて性能のいい電気製品に形を変え
た関税を掛けている・・といった穿ったものの考え方もできます。
(ROHSは、まさにそのような・・)

と言っても、世の流れには逆らえませんから、各企業もそれと知りな
がら生き残りを掛けて戦略を立てています。

それが、現在のSnーAgーCuや SnーCuーNi(Ge)さら
には低銀ハンダ、多種多様のフラックスなど特許紛争に繋がっており
ハンダ付け装置もどんどん複雑さを増しています。

現場を知らない方々が、こういったことを知らずに机上の理論を現場
に押し付け、ISOなどで、がんじがらめに縛ってしまいますと、現
場はもう改善の提案などができなくなってしまいます。

ものつくりは本来、理論に基づいた正しい設計とそれに対する現場の
人達(机上論ではない 作業者の声)とが試行錯誤を繰り返して技術
的、作業効率的、製造単価的により理想に近い形として 基準や規則
が定められるべきものなんですが日本の製造業はここが弱くなってい
ますね。

さらに、これをそのまんま、中国などの新興国へ持っていっています
から、これも危ない・・。

ハンダ付けは、鉛フリーハンダが登場して以来ものすごく複雑そうに
見えるようになってしまいました。来週からは、これをシンプルに整
理していきたいと思います。

今週はちょっとダークな話で、【明るいハンダ付け】が暗くなってし
まいましたが、次週からはもう少し具体的な話をしていきます。

では、明るいハンダ付けを!