こんにちは、はんだ付け職人です
今週は、吸煙器についてお話します。
糸ハンダ付けを溶かした時に出る白い煙は、糸ハンダに含まれているフラックスが
蒸発したものです。
フラックスの成分は、フラックスメーカーにとっては重要な企業秘密であり、完全
な形で公表されることはありません。(主成分は公表されています。微量元素が秘
密なんですね。)
ただし、間違いなくハロゲン化合物などの人体に有害な物質も含まれているため
直接吸い込んでしまうと喉を痛めますし、体に良くありません。
また、共晶ハンダではハンダに含まれる鉛成分も、わずかではありますが蒸発する
ため、呼吸と一緒に人体に入り込み蓄積します。
体質によっては、鉛成分が特に早く蓄積する方がおられますので、定期健診にて血
中鉛濃度を診てもらうことをお薦めします。(年々、血中の鉛濃度が上昇する人は
ハンダ付け作業から離れたほうがいいですね。)
特に、妊娠初期の方は共晶ハンダを使ったハンダ付け作業からは、いったん離れる
ことをお薦めします。
さらに、通常の工程ではあまり使われませんが、低温ハンダには(Cd)カドミウム
が使用されていることが多いため、こういった特殊ハンダを使われている場合は
よけいに注意が必要ですね。
理想は、工場内にダクト配管を張り巡らし各作業者ごとに吸気口を設置して、大型
ファンで煙を工場の外へ排出したいところですが、工事が大掛かりな上、レイアウト
変更もなかなか難しいのが難点です。(小社も設置できていません・・)
そこで、簡易的にこういったハンダ付けの際に出る煙を直接吸い込まないように、各
ハンダ付け器具メーカーから局所吸煙器が出されています。
こういった道具を使い、部屋の換気に気をつけることで、ハンダ付けの健康に対する
悪影響をほとんどなくすことができます。ハンダ付け作業する一人一人に必要となって
しまいますが、健康のためですので、できる限り準備をしたいものです。
この局所吸煙器、使ってみるとわかりますが、活性炭フィルターなどは、すぐにフラ
ックスでコテコテになってしまいます。
「こんなにフラックス蒸発しているのか・・」といつも驚かされます。
また、逆に扇風機の風などをハンダ付けの作業環境へ直接送って煙を避けておられる
ような方もたまに見かけますが、母材やハンダコテに直接風を当ててしまうと温度が
急激に奪われてしまうため、正しいハンダ付けができませんので避けたほうが良い
です。
クーラーの風や窓の近くで風が吹き込むような場所も要注意ですね。
ハンダ付けが終わった後は、せっけんで手をよく洗い、うがいをしておきましょう。