
今週はハンダコテのコテ先についてのお話です。
ハンダコテを購入すると、あらかじめ標準のコテ先が付属してきます。
(鉛筆を削った形の先細りタイプですね。)
実は、この標準のコテ先なんですが万能ではありません。・・というよりは
この標準タイプのコテ先がぴったりマッチするハンダ付けは非常に少ない・・。
と考えたほうが正解です。
本来、コテ先はハンダ付けの対象物に応じて使い分けるべきで、本当はメーカーのカタ
ログにはたくさんの種類のコテ先が掲載されています。
コテ先を交換すると、形状だけでなく、その熱容量も大きく変わります。
したがって、同じ形状であっても、その太さを変えてやることで熱容量をコントロール
することができます。
ところが、一般の方もちろん、企業の方も含めて、この標準のコテ先をそのまま使って
おられる方がかなり多いのが現状です。
そして、「このハンダコテは試したけどダメだ。」と判断されている場面が多くないで
しょうか?
コテ先の形状を選ぶ判断基準のひとつに、いかにしてハンダ付け対象物との接触面積を
大きくするかがあります。たとえば、丸棒と丸棒では点でしか接触させることができま
せんが、丸棒と平面となら線で接触させることができます。
以前にヤカンとお風呂のモデルでお話したことがありますが、この接触面積がヤカンの
お湯の注ぎ口の断面積に相当するわけです。
ですので、いくら大きな瞬間湯沸しのヤカンであっても、注ぎ口が細ければいつまで
経ってもお風呂のお湯を温めることができないですね。
接触面積を大きくするには、母材に応じたコテ先の形状選びが重要となります。
同一の基板内であってもコテ先を変更してハンダ付けするなどの状況は、多々発生し
ます。(特に鉛フリーのハンダ付けでは多くなってきています。)
(最近はコテ先交換がカートリッジ式になったり、2台のハンダコテが使えるステー
ションなどが販売されてきています。)
企業の方は、商社の方がカタログを持って販売に来られますので、こういった事情を
既にご存知の方が多いのですが、一般の方にはあまり知られていないようです。
ホームセンターなどで交換用のコテ先(形状の異なる)を店頭に置いてあるところは見
たことがありませんので、ハンダコテの販売環境が大きな要因なのでしょう。
したがって、今お使いのハンダコテが本当にダメなのかどうかは、コテ先の形状をいく
つか試してみてから判断したほうがいいですね。