こんにちは、はんだ付け職人です
先週、フィレットについてお話しましたが、今週はハンダ量についてのお話です。
多少、重複する箇所もありますが、これも誤解される方が多いポイントです。
基本的にどんな部品でも、リードや端子の形状が見える形でハンダ付けします。
心情的にハンダ量を多くしたほうが強いように考えてしまいますが、冒頭で述
べたようにハンダ付けは3~9ミクロンの合金層によって接合されていますか
ら、ハンダ量を多くしても強度は変わりません。
と書きますと
「いやいや・・ハンダが多いほうが断面積が大きいから絶対強いに決まってる。」
という声が聴こえそうですね。
ここでよろしければハンダ量が過多の不良と 適正なハンダ量を比較した
写真を見てください。
ご覧のように 見本の写真をご覧いただくと、適正なハンダ量というのは
思ったより少ないことに驚かれる方もおられると思います。
「なぜ、ハンダの適正量はこんなに少ないのか?」
は、前回のフィレットの考え方と同じです。
上の写真のように、リードや端子の形状がわからなくなるほどハンダを盛って
しまうと、合金層を形成するのに適した条件でハンダ付けされたかどうかを判
断することができません。
【第3者が見たときに、適正なハンダ付け条件下でのハンダ付けかどうかが
判断できない場合は、不良として判定する】
というふうに考えていただければ良いと思います。
もちろん、合金層を完全に形成しつつハンダ量を多くすることも可能なのですが
熱不足によるハンダ過多との見分けが容易にはつかないですから、
「危うきはNGとする」としたほうが安全ですね。
合金層が形成されていなければ、ハンダ量が多くても結果として接合面から
剥離したりしますから、強度としては劣るわけですね。
このように考えていくと、納得できるのではないでしょうか。
結局、目で見ることのできない合金層が形成されているかを判断するために
フィレットの形状を確認するわけですが、第一条件としてハンダ量が多すぎ
るとフィレットの確認ができません。
これが、ハンダ量が多いものをNGとする理由です。
PS:新作DVDの撮影始めました。新作はズバリ【リペア編】です。
鉛フリーハンダを使った表面実装部品のリペアなどを中心に
構成する予定です。(表面張力の使い方がポイントになるかな?)
DVD講義編の中国語翻訳、英語翻訳化を始めました。
どちらもまだ克服すべき問題があったり、時間が掛かかったりしますが
夏ごろには紹介できるようにしたいです。よろしくお願い致します。