こんにちは、はんだ付け職人です
今日はハンダ付けの仕上がり状態についてのお話です。
良いハンダ付けは、ピカッと光っており、その形状は富士山のように
裾広がりになります。この裾広がりの形状のことをフィレットと呼んでおり
ハンダ付けの世界ではとてもよく使われる言葉です。
初心者の方は、ぜひ覚えておきましょう。
ここで、良いハンダ付けと悪いハンダ付けの例を観ていただきます。
ハンダ付けに対する誤解で最も多いのが、この右側の写真のようなハンダ付けを
「良いハンダ付けである」と判断されることです。
一見すると同じようにピカッと光っていて、まだ固まっていないのではないかと
思えるほど美しくもあります。こちらの形状は、水滴のように膨らんでいますね。
ハンダも多くて左のハンダ付けより強度がありそうです。
実は、この右側の写真は意図的に熱不足の状態を作ってハンダ付けしたものです。
このようにフィレットが形成されていないハンダ付けの場合、リード線とハンダ
あるいは銅パターンとハンダが馴染んでおらず、合金層が完全に形成されていな
いことが多いです。
このため、このようなハンダ付けがされた電気製品が、実際に電流を流して使用
するようになると、時間の経過とともに、導通不良を起こして発熱したり、発火
したりする原因となります。
もちろん、合金層を完全に形成しつつハンダ量を多くすることも可能です。
ここで誤解が生じます。
「私は、十分熱を加えてハンダを馴染ませた上でハンダ量を多くした。
だから良品である。」
これは間違いではありません。
あなたがハンダ付けしたハンダ量の多いハンダ付けは良品です。
しかし、第3者が見た時に上記の熱不足によるハンダ付けと、あなたがハンダ付
けしたハンダ量が多いハンダの見分けができるでしょうか?
見た目での判断ができないので、このようにフィレットが形成されていない形状
のハンダ付けはイモハンダと呼んで不良として扱っているわけですね。
逆に、正しいハンダ付けの条件(母材とハンダが約250℃)でハンダ付けした
場合は、自然とフィレットが形成されますので、このフィレットが形成されてい
ることが良いハンダ付けの条件となっているわけですね。
PS:新作DVDの撮影始めました。新作はズバリ【リペア編】です。
鉛フリーハンダを使った表面実装部品のリペアなどを中心に
構成する予定です。
もうひとつ、DVD講義編の中国語翻訳化を始めました。
どちらもまだ克服すべき問題があったり、時間が掛かかったりしますが
夏ごろには紹介できるようにしたいです。よろしくお願い致します。