323968fe.jpgこんにちは、はんだ付け職人です

今週は、温度制御型のハンダコテについてのお話です。

温度制御型のハンダコテは、温度センサーやサーモスタットを使って
ヒーターの電源をONーOFFしています。

先週と同じく、風船モデルで考えると、蛇口の水を止めたり出したりして
風船の大きさをコントロールしていることになります。

温度飽和型ハンダコテが蛇口を目いっぱい開けっ放しで自然に任せて大きさを
決めているのに対して、温度制御型ハンダコテでは 蛇口から出る水の量に
余裕があり、風船から漏れる水の量が多少変化しても余力があることがわかります。

例えば、基板のグランドに繋がっている熱容量の大きなパターンにハンダ付けする
場合を考えてみます。

コテ先温度が一定温度に設定されたハンダコテでも、母材にコテ先を接触させると
一気にコテ先温度が下がります。ここで、どれだけ温度低下させずに熱量を
供給できるかが、温度制御型ハンダコテの性能の良し悪しになります。

現在、販売されているハンダコテの値段は、この性能の良し悪しによって
高い安いが決まっていと言ってもいいでしょう。

最高級のハンダコテは、鉛フリーハンダを使った大きな基板の極小部品の手直しなど
(細いコテ先で大きな熱容量が必要、でもコテ先温度は300℃まで・・といった条件)
の場合に威力を発揮します。

「このハンダコテの このコテ先でしかハンダ付けできない!」
といった場面はやはりあります。

特にRoHS対応で鉛フリーハンダが使われるようになってから
細いコテ先で大きな熱容量を必要とされるハンダ付け作業は
多くなっています。


しかし、通常のハンダ付けには、そこまでの性能が必要とされることは
ほとんどありません。

通常のハンダ付け=従来の鉛入り共晶ハンダを使ったハンダ付けはほとんどOK
         鉛フリーハンダでもハンダが溶けるようなら大丈夫

ハンダコテの役目は
「母材とハンダを約250℃のハンダ付けに最適な温度まで温める」
ことにあります。

あまり細かい性能にこだわると、ハンダ付けの本質を見誤ることがあります。
これまで何度も書いてきましたが、コテ先温度を保証しても
ハンダ付けの出来栄えを保証することはできません。

コテ先の形状、接触面先、コテ先を当てる時間、母材の熱容量、フラックスなど
多くのハンダ付け条件要素のうちのひとつに過ぎませんから
コテ先温度にとらわれすぎないようにしましょう。

(でも、前回お話したように高すぎるコテ先温度はダメです。)



PS:「結局どうやってハンダコテ選んだらいいの?」
というご質問を多数いただいております。

このメルマガ 実は日本最大手メーカーのHAKKOさんでも
読んでいただいておりまして、
『はんだ付け職人がお薦めするハンダこてセット』みたいものを
作っていただけるようなお話をいただきました。
(実は、今日も打ち合わせに来社いただいてました。)

初心者の方にも安心して使っていただけるように
また、あまり高額にならずに必要ないいものが揃っていて
しかも長く使ってもらえるものを考え中です。
案外早く皆さんに紹介できることになるかもしれません。