ここんにちは、はんだ付け職人です

先週、ベタアースパターン(グランド、GND)へのハンダ付けの
相談についてのお話をしましたが、今週もよく似たご相談です。

マザーボードのコンデンサ交換についてのお話です。


☆ご質問

コンデンサ交換を試みているのですが,基板からコンデンサを
外すことがなかなか上手くいかなくて困っています..。

こては20Wで一次的に(30秒間)130Wまで加熱できるタイプのものを使っております。
吸い取り線も使ってみたのですが,うまく吸い取れたためしがありません...。

上手く取れたとしても,穴が半分塞がっていたりして,新しいコンデンサを
入れることができません。

コンデンサをはずす際のコツ,穴が塞がっている時の対処方法について
お知恵をいただけたら幸いです。


☆ハンダ付け職人回答


マザーボードのコンデンサ交換については
お悩みの方が多いですね。

当社へのご依頼の中で最も多いものの一つです。
(ご自分で挑戦された後、あきらめてご依頼をいただきます。)

先週は、ハンダコテの熱容量では無理があるので
DIPハンダ槽の使用を紹介しましたが

【ハンダコテしかない場合、どうしたらいいか?】
について考えてみましょう。

まず、ざっと基板を見て、コンデンサが繋がっているパターンを
確認します。
両面基板の場合は両面とも確認します。

このとき、コンデンサのリードがグランド、GNDパターンにつながっていれば
かなり苦労することになります。

コンデンサが、基板に密着していない場合は
コンデンサのリードをカットしてコンデンサを外してしまったほうが
熱容量は小さくなります。
(この場合は、1本づつハンダを溶かしてリードを抜き取ります)

またハンダ面側のリードも短くカットします。
クリンチ(リードを曲げて固定)してある場合も、できるだけ短くカットします。

ハンダコテはなるべくコテ先の大きなもの
コンデンサのリードを2本同時に温められるものを探して用意します。

こて先にハンダを溶かし付けてハンダ面から2本同時にハンダを溶かします。
コンデンサを動かしてみて、ゆるゆるになっていればソロリソロリと
コンデンサを抜き取ります。
(この間、ハンダコテは当てたままです)

しかし、「ハンダが完全に溶けていないな・・」と感じた場合は
無理に引き抜いてはいけません。
(スルーホールごと取れてしまいます)

熱を加えた基板は、紙のように たいへん弱くなっているので
力加減は勘と経験が頼りです。

(無理をするとレジストやシルクなどを焦がしてしまいますし、
 pbフリーハンダを使用した基板の場合、長時間コテを当てると銅食われ現象により
 スルーホールごと消滅してしまうこともあります。)

無事に、コンデンサが外せた場合、基板の穴(スルーホール)には
ハンダが埋まっています。

これを取り除くには、ハンダ吸い取り線(WICK)を押し当てて
上からハンダコテを当ててできるだけハンダを吸い取ります。
(これだけでもキレイに吸い取れる場合があります)

スルーホールの内部に残ってしまったハンダは
吸い取り線を斜めに鋭くカットして(角度20度くらい)
スルーホールに突っ込みハンダコテで加熱します。

1度で上手くいかなくても 何度か挑戦すると必ず除去できますが
根気が要ります。


最初に、ハンダコテを当てたときにハンダが十分に溶けない時には
ドライヤーで基板を加熱したり、ホットプレートで150℃程度まで
基板全体を温めてやると溶かすことが出来ます。

ただし、基板が熱いので作業はさらに難しくなってしまいます。


どうしても無理な場合は、当社にご依頼ください。
(壊してしまう前にお願いしますね。)