こんにちは、はんだ付け職人です
今日はコテ先温度の測定に関するご質問からの回答です。
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ご質問内容
はじめまして、
半田コテ先の温度測定方法を教えてください。
現在、当社では半田コテ先を「ハッコー製」の熱伝対がついたコテ先温度計に
3秒程度付けて温度計のデータを読んでいます。
先般お客様が来社の際に「3秒では短い」
「温度が上昇しないタイミングまで待って提示された温度が正規温度である」
と指導を受けました。
が、実際現場での作業は3秒以内で実施しておりお客様の指摘内容と異なり
表示温度が当社測定時とお客様指摘方法で大きく異なってしまいます。
(当然、長時間コテをつけている方が測定温度が高く掲示されます)
正しい温度測定の仕方を教えてください。
☆はんだ付け職人回答
【コテ先温度の測定の目的は何なのか?】を
まず、明確にしておかねばなりません。
品質管理としてハンダコテのコテ先温度を始業点検する目的は
「ハンダコテに異常がないか?」をチェックすることにあります。
ご存知の通り、ハンダコテを母材に当てますとコテ先温度は母材に熱を奪われて
下がってしまいます。実際にハンダ付けする際、コテを当ててから3秒後のコテ先温度は
母材の持つ熱容量によって変わってきます。
今回の場合、「ハッコー製」の熱伝対がついたコテ先温度計の熱容量は
実際にハンダ付けされている母材の持つ熱容量とは違うはずですので
あまり3秒にこだわる必要はないと思います。
逆に言うと、たとえ厳密にコテ先温度を測定して記録してやっても
ハンダの溶けている温度を現しているわけではありませんので
ハンダ付け接合が正しく行われているかどうか?ということを
保証することはできません。
(必要条件ではありますが、十分条件ではないですね)
例えば・・
「私は360℃のハンダコテを3秒当てたからこのハンダ付けは完全だ。」
とは言えないわけです。
母材の大きさ(熱容量)やコテ先の当て方や形状でも条件は
かなり変わってきます。
したがって、ハンダコテの始業点検は、ハンダコテの異常を検知するために
コテ先温度を測定することが主目的ですので
いつも決まった条件下で測定してやれば良いですね。
測定時間については
どちらが正しいとも言えませんが、「ハッコー製」の熱伝対がついたコテ先温度計で
「温度が上昇しないタイミングまで待って提示される」までの
時間も10秒ほどだと思われます。
あまりに長い時間温度が上昇し続けるハンダコテも異常ですから
こういった異常を発見するためにも
「温度が上昇しないタイミングまで待つ」ほうが良いですが
「但し、○秒以上 温度が安定しない場合は、品質管理担当者へ連絡すること」
などの異常処置が必要かと思います。
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「3秒だ」「いや10秒だ」などの議論は、その目的が何であるかを
考えると答えがはっきりしますね。