1:鉛フリーはんだが導入された理由

従来、電気製品や電子機器にはプリント基板を中心として 
電子部品を電気的接合する技術として、鉛入りの共晶はんだが使われてきました。

電子部品搭載基板


数年前までは、使用済み電気・電子機器の実装基板は、ほとんど回収されずに
粉砕などの処理をされ、埋め立て処理などで廃棄されてきました。
 
従来の共晶はんだに含まれる鉛は、近年これまた問題になっている酸性雨により溶け出し、
人体に有害な鉛化合物となって、地下水に入り込み飲料水として 
人体に入ることがわかり 大きな社会問題として取り上げられました。

2:鉛が人体に及ぼす可能性のある悪影響

人体に入った鉛化合物は、直接的には腹痛や貧血などの鉛中毒として害を及ぼします。 
また、鉛は骨に蓄積され、特に乳幼児では大脳の成長生涯が強く現れ、
精神薄弱などの被害を及ぼしたり、骨の発育障害などの影響が現れることがあります。


3:ROHS指令


このため、世界的に環境問題への関心が高まる中、鉛を使用した製品が規制の対象となりました。
ヨーロッパでは、2006年以降、鉛の全廃を目指しており、既に輸入の規制が厳しくなっています。 
 
日本国内では、大手メーカーが、順次、鉛フリー化を進めており、
電子部品の調達においても、鉛などの有害物質を含む部材の調達を完全に止めているところも出ています。

既に、完全に鉛フリーを謳っているメーカーもあるのですが、実際は部品の端子や、
リードのメッキなどの鉛フリー化が完全でないため、1~2%の鉛を
含んでいるのが実情のようです。(2005年当時の話)

(本来、共晶半田とPbフリー半田を混ぜると信頼性の面で問題があるのですが、
各メーカー独自の判定基準・信頼性試験などで運用されているようです。)

したがって、民生用(家電)では、環境にやさしいという売り文句で、
上記のような形で、鉛フリー化が進められていますが、

産業用では、まだ信頼性の面で問題があるため、鉛フリー化はかなり遅れています。

しかし、この夏(2005年 8月)には、ほとんどの電子部品が鉛フリー化される予定なので、
その後一気に鉛フリー化が進むものと考えられます。  
  

  • ※2005年3月2日の記事をリニューアル