今年も新入社員の方を迎えられ
以前に弊社で購入して頂いたはんだ付け教育DVD実技編を活用して
教育を進めておられる企業様も多いかと存じます。
先日、お客さまから
「DVDを観ているのですが作業が思うように改善されない・・・」
というご相談がございました。
同じようにお悩み頂いている企業様もおられるかと思い
内容をシェアさせて頂きます。
★お悩み
多芯線をコネクタに繋げるはんだ付け業務において
・0.5sq以上の線は予備はんだすると太くなりカップ端子にうまく挿入できない。
・カップ端子に線を挿入しはんだ付けする際時間がかかってしまい
被覆が溶けて膨張しはんだ付け後カップ端子に通す透明チューブが通らなくなってしまう。
★問題点
お写真をお送り頂き詳しく作業方法をお伺いしてみますと
①作業時のコテ先の形状が1種類のみでDVDで使用しているコテ先とは異なった
(DVDでは、3Cと2Cを使用→ 実際は1.2Dを使用)
②コテ先が酸化している
③1種類のみ(φ1mm)の糸はんだで作業をされていた。
(DVDでは、0.8mmと0.3mmを使い分け)
④リード線の予備はんだの際、糸はんだを常に供給しながら実施するように
DVDでは解説しているが、できていなかった
ということが分かりました。
★改善策
①予備はんだの際と コネクタをはんだ付けする際は
コテ先の形状の使い分けが必要です。
DVDではこの点についても解説していますが
たまたま所有されていたコテサキ1種(1.2D)だけで作業されていました。
リード線の予備はんだには大きな熱量が必要で、ある程度コテ先にはんだを
水滴のように保持する必要があります。
1.2Dでは、熱量が不足してフラックスも十分な量が供給できません。
また、コネクタのカップ端子にはんだ付けするには、
1.2Dはやはり熱量が不足します。
この点、実際に理想のはんだ付け条件下ではんだ付けしていただき、違いを体感。
コテ先の形状の差で大きく作業性、品質が向上することを理解していただきました。
②コテ先が酸化していますと コテの熱が母材や糸はんだに上手く伝わりません。
ハンダゴテを使ったはんだ付けでは、ものすごく重要なポイントなのですが、
ほとんど知られていません。
DVDでは、酸化しているコテ先と
酸化していないコテ先へのはんだの馴染み具合を示し
詳しく解説しております。
酸化を防ぐにはコテ台にコテを置く度に
熱くなったコテ先が空気に触れないように
たっぷりはんだを付けて置くようにしてください。
③予備はんだは、リード線にはんだを馴染ませるのが目的です。
形だけまねても、はんだがリード線に馴染んでいなければ逆効果です。
はんだを馴染ませるには、常に新鮮なフラックスの供給が必要ですので
太い糸はんだをお勧めしています。(径が大きいとフラックスも多く含まれます)
コネクタはんだの際は、細い糸はんだを使用したほうが
はんだ量のコントロールが容易です。
④ ③とも被りますが、常に新鮮なフラックスを供給するには、
リード線にコテ先を当てている間、常に糸はんだを供給し続ける必要があります。
はんだ量を少なくしようとして少量のはんだしか供給しないと、結果として
フラックスが不足しますので、リードがはんだで太くなったり、ツノが発生する
原因となります。
上記内容は DVDでは解説をしておりますが
「正しいコテ先、正しい糸はんだ、正しくメンテされた道具を用いると
難なく作業が出来る」という 良い実体験をされていないため
それらがどれほど重要であるかが理解して頂けていなかったのが原因だと考えます。
DVDでお伝えしている理論的な内容・道具の選択には全て意味があると
再認識して頂き教育にご活用いただけます様お願いいたします。
※弊社代表が理事長を勤めますNPO日本はんだ付け協会では
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