こんにちは、はんだ付け職人です。
今日は、電子機器を扱っていると、非常に取り扱うことが多い
電解コンデンサについてのお話です。
中でもアルミ電解コンデンサは、こんな姿をしています。
この写真のコンデンサは、定格電圧/耐電圧が25Vで、
静電容量は220μFです。
耐熱温度は105℃と表示されています。
さて、仮にメーカーのデーターシートに寿命が1,000時間と
表示されていたとすると、このコンデンサの寿命は41日程度しか無いのでしょうか?
このアルミ電解コンデンサを使用した電化製品は、
24時間通電されていたとしたら、41日間で壊れてしまうのでしょうか?
実は、アルミ電解コンデンサの寿命については、上記のデーターから
自分で計算する必要があります。
アルミ電解コンデンサには「10℃ 2倍説」というものがありまして、
使用環境温度が10℃上昇するごとに寿命が半分になる・・という法則があります。
例えば写真のコンデンサは、使用環境が105℃の場合は寿命が1,000時間しかありませんが
95℃の環境では、寿命が2倍の2,000時間になります。
ということは、例えば
例:105℃で1,000時間の寿命のコンデンサ
→ 55℃で使用する→温度差は50℃
→1,000×2の5乗(時間) = 32,000時間(3.65年)の寿命となります。
熱がこもるPCなどの寿命が5年程度で調子が悪くなるのも
この辺りに原因があることが多いです。
数ある電子部品の中でもアルミ電解コンデンサは最も寿命が短い部品です。
昔の優れた設計者は、他の電子部品の故障などで製品が致命的な故障を
引き起こす前に、静かに寿命が尽きて故障するようにアルミ電解コンデンサを
組み込んだ・・という話を聞いたことがあります。
アルミ電解コンデンサの構造を知っておく必要があります。
アルミ電解コンデンサは、アルミ筒の中に電解液が入っており、
漏れないようにゴムで栓がしてあります。
このゴム栓の小さな穴を通してリード線が外に出ているわけです。
したがって、このゴム栓が歪むような使い方をすると、
中の電解液が漏れ出してきます。
写真Aのように、コンデンサのリード幅と基板の取付穴の幅(ピッチ)があっていない場合に、
無理やり押し込むと、ゴム栓の小さな穴が歪んで液漏れを起こしやすくなります。
面倒でもBのように、リードを成型して、ゴム栓部分に負担が掛からないように
してやる必要があります。
知ってるようで、あまり知られていない豆知識でした。
お役に立てば幸いです。
では、明るいはんだ付けを!
2019年9月27日記事リニューアル