こんにちは、はんだ付け職人です。
今日は、はんだ付けの業界でお目にかかることが
とても多い黄銅(真鍮)の端子についてのお話です。
当社でも、苦しめられた経験がありますが、
黄銅に錫メッキされた端子部品をはんだ付けする際に、
ロットによっては、とてもはんだの濡れ性が悪いものがあります。
「保存状態が悪いからではないか?」
「メッキが悪いのではないか?」
「何かはんだ付けの条件が変わったのではないか?」
などと調べているうちに、次のロットでは
ウソのように濡れ性が良くなったりして、
うやむやになることが多いです。
こうした、部品の受け入れ検査では、
はんだの濡れ性までチェックされることは、
ほとんどないため、
泣きをみるのは、はんだ付け作業者であることが多いです。
原因については、田中和吉大先生の著書にメッキの詳細について
詳しく記されているのですが、
要は、錫と黄銅に20%以上含まれている亜鉛との拡散に
原因があります。
すなわち、黄銅端子にスズメッキをすると、黄銅の成分である亜鉛が
常温で拡散し、錫メッキの表面に出てきた亜鉛が酸化して、
はんだが濡れなくなるそうです。
こうした現象を防ぐためには、黄銅に対して2.4μm以上の
銅メッキを施してから、最低4.8μm以上の錫メッキを
施す必要があります。
ですから、こうした端子部品をメッキに出される際は、
メッキの下地の厚さや、メッキ自体の厚さを指定してやらなければ、
しょっちゅう、はんだ濡れ不良の問題に悩まされることになります。
参考になりますれば幸いです。
では、明るいはんだ付けを!