こんにちは、はんだ付け職人です。

今週は、ハンダ付け作業の教育では、ほとんど語られることのない
「母材の固定」についてのお話です。

ここまで学んできたハンダ付けの基礎知識を活用すれば、
ハンダ付けが、さほど難しくないことはご理解いただいていると
思います。

しかし、実際にハンダ付けを行う際に、ある意味一番問題になって
くるのが「母材の固定」です。

実は、ハンダ付け不良の多くは、「母材の固定」が不十分で発生
しています。

普段、ハンダ付けをされる方なら、思い当たることがあるのでは
ないでしょうか?


ハンダ付けの際、溶融したハンダはコテ先が離れてから数秒間は
溶けたままです。

この数秒間に母材が動いてしまいますと、ハンダは、半分固まった
状態で動いてしまうため、せっかく苦労してハンダ付けした箇所が
「ピョン!」と外れてしまったり、表面ボソボソ状態のイモハンダ
になってしまったり、クラックが入ったりしてしまいます。

「あっ!しまった!」と思って、再度コテ先を当ててハンダを
溶かしますと、今度はフラックスが蒸発していて、さらに悪いイモ
ハンダになってしまいます。

さらに、このイモハンダを手直ししようとして、糸ハンダを足し、
ハンダ過多になったり、時間を掛けすぎて基板を壊したり、部品を
壊したり・・

と「母材の固定」が引き金となって発生する不良は多岐にわたります。

実際のハンダ付け作業を見るとわかりますが、ハンダ付け作業に
要する時間の大部分は「母材の固定」に当てられています。

「母材の固定」さえ出来れば「ハンダ付け作業の80%は完了した。」
と言っても良いでしょう。

そこで・・母材を固定するいろいろな工夫が必要になってくるわけ
ですが、ひとつ例を挙げてみましょう。

Dsubコネクタの固定とケーブル固定の例です。

ちょっと長くなりましたので、他の例は次週ご紹介しましょう。

では、明るいハンダ付けを!