こんにちは、はんだ付け職人です
今週は、鉛フリーハンダと共晶ハンダの工程をどうやって分離
するか?についてお話します。
この問題は、どこの会社でも頭の痛い問題で、工場審査などが
ありますと、一番気を使う部分でもあります。
「Rohs指令への対策はどうされていますか?」
「鉛フリーと共晶ハンダの管理はどうされていますか?」
といった質問ですね。
年のため先に、簡単にRoHS指令について説明しておきます
と、欧州で決められたWEEE指令の一部で、要は「環境に悪
い物質を出さないようにしましょう」という取り決めです。
RoHS指令で規制される有害物質には6つあり、鉛(Pb)、
水銀(Hg)、カドミウム(Cd)、六価クロム(Cr6+)、PBB(ポリ臭化
ビフェニル)、⑥PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)が規制の
対象となっています。
これらの「規制有害物質の含有量を一定値範囲内に収めなさい」
というのがRoHS指令ですが、その基準はかなりきびしく、
ppmレベルでの管理が必要です。
共晶ハンダから鉛フリーハンダへ移行する場合、一時的に共晶
ハンダと鉛フリーハンダを共存して使うような状況が出てくる
と思います。
あるいは、既に100%鉛フリーハンダ化が完了していても
共晶ハンダを使うような状況が出てくるかもしれません。
(手直しや、修理品、開発業務など頻度は案外多いです。)
こういった移行時期に、ハンダコテを共晶ハンダと鉛フリーハ
ンダで共用して使うなどしてしまいますと、ハンダ付けされた
ハンダに鉛成分が混ざってしまいます。
それどころか、作業台やコテ台、コテ先温度計やハンダ付けの
ための冶工具、ピンセットに至るまで、共晶ハンダと分離して
使用しないと極微量ではありますが鉛成分が混ざってしまいます。
いったん、RoHS対応品としてヨーロッパへ輸出したものから
鉛成分が検出されますと輸出の停止や製品の回収などの重大なク
レームになる恐れがあります。
企業の場合は、会社をあげて表示、標識、社員教育に取り組む必
要がありますね。 また、基板や電子部品でもRoHS対応品
でないものはリードに共晶ハンダがメッキされていたりするの
で注意が必要です。
これらを知らずに1個でもRohs対応品でないものをハンダ
付けしてしまうと、その後、そのハンダコテを使った製品は
すべて鉛に汚染されてしまうことになります。
前置きだけで長くなってしまいましたね。
では、今週はこのへんで・・。来週は小社の取り組み例など具
体的に紹介していきます。
明るいハンダ付けを!