こんにちは。はんだ付け職人の大堀です。
弊社では数年前からユーノスコスモに搭載されている
TWSの復元修復作業を行っているのですが、
数を見ている中で、このTWSの故障原因を発見しました。
※TWSとは、”Total Wirering System” の略で”総配線システム”のことです。
これが故障すると車両の電気系統がほぼ全滅してしまう大変重要な部品です。
電解コンデンサの電解液漏れによる基板の腐食が故障原因の大半です。
中でも、たった3個しか無い表面実装の電解コンデンサの内の1個が、
致命的な故障の原因になっている様なのです。
今までの修復でも、ほぼ8割がこの表面実装の電解コンデンサでした。
10uF/16V。全てはここから始まります。
見てください。最も典型的な故障原因です。
電解コンデンサの液漏れが始まり、基板のパターンを腐食して行きます。
そして近傍にあるASICまでをも餌食にしてしまいます。
(端子を伝ってどんどんASIC内部を腐食させます)
このASICが死んでしまうとTWSはもう復活できません。
なぜなら、ASICはTWSの頭脳だからです。
また厄介なことにASICは超が付くくらいの専用ICのため、
新品を入手することはまず不可能です。
今回ご依頼頂いたTWSは致命的な故障を起こす
一歩手前でご依頼(予防修理)頂きましたので先手を打つことができました。
もちろん、他の電解コンデンサも全て交換しました。
(電解コンデンサの寿命は約15~20年です)
今回のご依頼品の場合の作業代は約18,000円(税抜)でした。
予防保全が一番費用的に安価となりますが、中身を確認するまでわからないのが現状です。
※作業費用とは、
作業代 +交換部品代(部品購入実費)+返送料(事務手数料含む)
+消費税(全てに10%かかります)の合計です。
故障してしまった場合には、
この場所に問題があると復活をあきらめないといけないかも知れませんので、
予防保全をお考えの際には、一度TWSの中を確認されてみてはいかがでしょうか。
(この部分が怪しい場合は早急に交換等の手を打つことをお勧めいたします)
旧車に光を!「予防保全」と言う考え方 – ゴッドはんだ株式会社 法人個人はんだ付けサービス はんだ付け教材販売 はんだ付け講座 (godhanda.co.jp)
古き良き時代の名車を少しでも長くご愛用頂くために。
大した発見ではないかも知れませんが予防修理の目安として活用頂ければ幸いです。
※2023年5月現在の所、47台の修理実績があります。
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そしてつい最近(2023.5.22)、
以前にTWSの修理をご依頼頂いた方からさらなるご依頼を頂きました。
話は以下に続きます。(太紫色の文字がご依頼者様から頂いたメールです)
メーターパネルのご依頼は希少です。
もちろん電解コンデンサは総交換となりますが、ダイオード類の部品が腐食していると厄介なのです。
何故かと言うと、ダイオードの製造期間は平均して短く、常に新製品へ入れ替わっていくため20年以上経つとロングセラー品以外はほぼ無くなってしまいます。
しかも、品番表示が消えていたりするので構成されている部品や周辺回路から、その部品の働きを想像しなければなりません。
回路図があれば良いのですが、それは無いものねだりと言われてしまいますのでテスター片手に周辺部の測定から始めます。
なんとか見当をつけて修復を終えたものの、
実際に装着するまで結果はわかりません。
そして!
無事に動作することができて本当に良かったです!
「旧車に光を!」
※なかなかの手術でしたので費用も5~6万円程かかりました。
今回は復活することができましたが、復活率は100%ではございませんので、
ご検討頂く際にはリスクがあることを十分ご理解下さいます様お願いいたします。