こんにちは、はんだ付け職人です。

11月2日(日曜日)の日経新聞のNIKKEI The STYLE 「文化時評」に
「ブルーカラー ビリオネアの時代」という記事が大見出しで出ておりました。

「AIが人間の仕事を奪う」といった話は、最近よく見るようになりましたが、
アメリカでは、最近ブルーカラーの職人が逆にビリオネア(億万長者)になりつつあるという
非常に興味深い記事でした。

はんだ付け職人の地位向上のため、日々活動している我々にとって
これからは「我々の時代が来るのか?」と嬉しい内容でした。

記事を読んではんだ付け職人が感じたことを
ザッと要約すると、

1:AIが奪ったのはホワイトカラーの仕事だった

2:アメリカで生まれた「ブルーカラービリオネア」という言葉

3:なくならない仕事=AIが触れない“物理世界の技術”

4:日本でも同じ現象は必ず起きる

5:なぜ技能職の価値が上がるのか(3つの理由)

6:はんだ付け業界にもすでに兆候が出ている

7:最後に──「手に職を持つ人間は、未来に怯えない」

  1. AIが奪ったのはホワイトカラーの仕事だった

ChatGPTをはじめとする生成AIが登場してから、
最初に揺れたのは「デスクに座って考える仕事」でした。

企画、文章、分析、事務処理──
“頭を使うだけ”の仕事は、AIが一瞬で肩代わりできる。

「AIに仕事を奪われるのはブルーカラーだ」と言われていた時代は終わり、
奪われたのはむしろホワイトカラーだった という現実が見えてきています。

  1. アメリカで生まれた「ブルーカラービリオネア」

そんな背景から生まれたのが、
“Blue-color Billionaire(ブルーカラーで成功する富裕層)” という言葉です。

・配管工で年収2,000万円
・電気工事士がTikTokでファンを獲得して会社設立
・大工がSNS経由で全国から指名案件を受注

「手に職 × 情報発信」で、
職人が起業家・インフルエンサー・富裕層になっていく流れがアメリカで加速しています。

  1. なくならない仕事=AIが触れない“物理世界の技術”

AIは回路図を描けても、ハンダゴテは握れません。
量産の時には、はんだ付けの条件出しなどに活躍すると思われますが、
試作段階では、難しいでしょう。

AIは家を設計できても、
木材を切ったり、壁を仕上げたりはできません。
ロボットがプログラム無しに自分で考えて動き仕事をすることは
当面ないでしょう。

物理世界の仕事は、AIが“助ける”ことはできても“代わること”はできない。

つまり、
配管工・大工・溶接工・電気工事士・整備士・そして“はんだ付け職人”――
こういう仕事は、AI時代ほど価値が上がる。

  1. 日本でも同じ現象は起きるのか?

答えは 「確実に起きる」 です。
理由は3つ。

人手不足(特に技能職)
技術伝承の断絶(職人の高齢化)
AIでは代替できない仕事の増加

実際、製造・建設・医療機器・宇宙・自動車…
どの業界でも「職人の確保」が最大の課題になっています。

  1. はんだ付け業界でもすでに兆候がある

・企業が社員研修を外部委託する
・若手が育たず“技能の空白”が発生
・微細実装やリワークの依頼が増加
・「やってくれる人がいないから依頼したい」という声が増えている

これは、ブルーカラー再評価の波が確実に来ているサインかも?

  1. 技能を持つ人間が、AI時代を支配する

AIに代われない人間になる方法はシンプルです。
「頭だけでなく、手も動かせる人になること」

そして、
「その技術を言語化し、教えられる人になること」
技能 × 教育 × 情報発信
この3つを持っている人は、AI時代に“無敵”になります。

7. 最後に──「手に職を持つ人間は、未来に怯えない」

AIがどれほど進化しても、道具を握る感覚や、におい、音、手の温度までは再現できません。
人の手でしか作れない精度、人の判断でしか止められないミス、人の経験でしか語れないコツ。
それこそが、職人の価値です。

AIが社会を塗り替えていく時代だからこそ、
「自分の手で生み出せる」「誰かに教えられる」「次の世代に伝えられる」──
この3つを持つ人は、どんな未来が来ても揺らぎません。

未来に怯える必要はありません。
なぜなら、技術は裏切らないからです。

ハンダゴテの先に流れる一点の光。
その手にこそ、これからの時代を照らす力があると、私は信じています。

はんだ付けに光を!