こんにちは、はんだ付け職人です。
先週は、ハンダゴテの電力表示についてのお話を
させていただいたのですが、
ハンダゴテの世代によって電力表示の仕方が違うことが
わかりました。
そのとき書きながら「ひょっとして?・・」と思ったのですが
はんだ付け装置全般にわたって、
カタログなどに表現されている性能表示は
各メーカーによってバラバラであるようです。
これは、日本にはハンダゴテに関する規格がないことが
原因のようです。
「ソルダリングアート」第5版 発行(白光株式会社)から、
一部引用させてもらって紹介させていただきますと、
アメリカの場合は、軍用規格等で細かく規定された
はんだ付けの規格の中に、
ハンダゴテに対しての要求事項が書かれているようです。
この本の第一章に
「たった一箇所のはんだ付け不良が人類を滅ぼす!?」
といった話が出てくるのですが、
核ミサイルを制御している基板に、一箇所でも
バグ(はんだ付け不良)があれば、
誤って核ミサイルが発射されて、人類が滅亡してしまうかもしれない・・
(実際には、2重3重の安全ロックが働いている)
という観点から考えれば当然かもしれません。
さて、ANSI(アメリカ国家規格)に採用されている
ハンダゴテに対する要求事項ですが
・温度制御されたハンダゴテで、コテ先のアイドリング温度は
±5℃に制御できること。
・アイドル状態で使用者が選択した温度または定格温度は
実際に測定されたコテ先温度の±15℃の制限内にあること。
・高温のハンダゴテのコテ先とアース間の抵抗値は5Ωを超えないこと。
・加熱されたコテ先からアースへのリーク電流は、
機器・構成部品に対して悪影響をおよぼさないこと。
・はんだ付け機器が発生するコテ先過渡電圧は2Vピークを
上回ってはならない。
・グリップに変圧器が組み込まれたガンタイプのハンダゴテは
使用しないこと。
(これは何を指しているのかがわかりません)
とあります。
同様に、静電気の規格の中にも
・コテ先とアース間の抵抗値は5Ω以下であること。
・リーク電圧は2mVを超えないこと。
とあるそうです。
この中で、注目すべきは1番最初の「温度制御されたハンダゴテで~」
という箇所です。
ハンダゴテは温度制御されていて当たり前・・
という風に解釈できます。
私は常々思っているのですが、学校教育や新入社員教育などで
初心者こそ温度制御されたハンダゴテを使うべきであって
安いからといって、数十年前の仕様のまま、
超高温になるハンダゴテを使った実習を行うと、
本来、簡単であるはずのはんだ付けが
とても難しく感じられてしまい誤解されてしまいます。
どこかで、その連鎖を断ち切りたいと考え、このメルマガを書いています。
はんだ付け教育に携わる方は、ご協力をお願いいたします。
では、明るいはんだ付けを!