こんにちは、はんだ付け職人です。
さて、今週は、先週に引き続き鉛フリーハンダと共晶ハンダの
工程をどうやって分離するか?についてのお話しです。
ただし、小社のように資金もスペースも潤沢でない場合の話です
ので大きな工場や企業さんでは物足りないかもしれません。
まず最初に、従業員さんたちにRohs対策について十分に説明を
しておく必要がありますね。その上で量産品が流れている場合は
作業机や作業場所を区分けしてしまうのが一番です。
その上で、ハンダコテやピンセット冶工具、コテ先温度計(これ
要注意です)などをテプラなどの表示で色分けしておくことが重
要です。(Wickなどの細かいものまで必要です)
これをやっておかないと、いつのまにやら、共晶用やら鉛フリー
用やらわからなくなるものが必ず出てきます。
また、表示や識別などの作業は、なるべくその道具を使う従業員
さん達本人にやってもらうほうがいいですね。「自分達で管理し
ている!」という自覚が生まれます。
ところで、量産品が毎日流れない試作部門や小ロット生産部門では
どうすればいいでしょう?
小社もまさしくこの事例に該当します。作業台を共晶用と鉛フ
リー用に決めて(もちろん表示します)固定してみたり、表示を
徹底してみたり、いろいろやってみましたが、現在はこういう
方法に落ち着いています。
1:コンテナボックスを用意します。(60*40*30cm)
程度が使いやすいです。このコンテナボックスに鉛フリー用
と共晶ハンダ用に色分けして表示します。さらに作業者名も
表示します。
2:コンテナの置き場所を表示して定めます。(作業者名も表示
棚にも鉛フリー、共晶の表示があったほうがいいですね。))
3:コンテナボックスにはそれぞれ、ハンダコテ、ピンセット
WICK、フラックス、トレイ、ハンダリール台など
基本セットを用意しておきます。
4:テプラですべての機器、冶工具に鉛フリーと共晶とを色分け
して表示します。
5:同様に作業者の名前をすべての機器、冶工具にテプラで
表示します。
6:消耗品置き場(コテ先、糸ハンダ、WICK、マスキングテ
ープなど)をRohs用と そうでない棚に分けて色分け
表示する。
(消耗したら各自で補充する)
つまり、作業者ごとに、共晶用と鉛フリー用のハンダコテセット
を用意するわけですね。
この方法を採るためには、作業者ごとに鉛フリー用、共晶用の
(場合によってはRohs用の3種類)2種類のハンダ付け
セットを用意しなければなりません。
ピンセットや、ニッパなどもすべて同じものが2台(3台)必要
になりますから、導入コスト的にはあまり安くはありません。
しかし、人間不思議なもので、自分の名前が書いてある道具は
大事に使います。また、知らないうちに誰かが持っていってし
まって紛失・・。といったことが極端に少なくなります。
特に試作なんかの場合、「ちょっと貸してね!」と持っていかれ
たピンセットなどが、いつのまにやら、共晶ハンダでも鉛フリー
ハンダでも使われたりしたりしますので怖いですね。
その点、名前が書いてあるとほとんどの場合、使った後に「あり
がとう。」と・・元の位置に戻ってきます。
さらに、切れなくなったニッパや先の磨耗したピンセットなどが
そこら中に置いてある・・。といったこともなくなります。
(自分が使う道具は、皆いいものを使いたいですからね。)
鉛フリー用、共晶用どちらで使うものかわからない・・。
道具が机の上に置いてあるようなこともなくなります。
(自分の道具はきちんとしまうんですね。)
あとは、作業毎にどちらかのコンテナを出してきて、作業台を
清掃してから作業に掛かるようにしています。
この方法がベストか?というと他にも方法はありそうですが
今のところ。多くの会社が観に来られましたが「なるほど・・」
と納得してもらってます。
ひとつの参考にはなるかと思います。
会社でRohs対策を命じられている方に参考になれば幸い
です。
明るいハンダ付けを!