今日は、比較的多くの質問をいただいている
「はんだ付け職人は どんなハンダコテを使ってるのですか?」
というご質問への回答です。
特に、異業種から電気製品のラインを立ち上げられたりする場合
「メーカーも多いですし、カタログを見てもどれを選んでいいのやら・・」
とハンダコテの選定に悩まれることが多いようです。
特に、これから何台もハンダコテを導入しようとする場合
金額も大きくなりますので、できれば失敗したくはありません。
著書【はんだ付け職人のハンダ付け講座】でも述べていますが
当社では、最新式の高価なハンダコテは使用していません。
最近では、各メーカーから【鉛(Pb)フリーハンダ】専用として、コテ先に熱伝対を
装着した高性能のハンダコテが数多く発売されています。
これらのハンダコテは、コテ先の温度を直接熱伝対により読み取り、素早い熱回復性
をもってハンダ付けの最中のコテ先温度を一定に保つよう制御しています。
鉛(Pb)フリーハンダの導入などで、新規にハンダコテを購入する場合、当然
メーカー側では「鉛(Pb)フリーハンダには、このハンダコテです!」と薦めてくれます。
ところが、ここに落とし穴があります・・・。
もちろん、このハンダコテはたいへん優秀で、正しく使用すれば鉛(Pb)フリーハンダに
も最高の威力を 発揮してくれます。
しかしながら、最高級のハンダコテであっても万能ではありません。
ここが、一番誤解されるところで、最高級のハンダコテを使っていればそれ以上の条件は
ないかのように思われがちです。
ところが、実際にはハンダ付けの対象物によってハンダコテ自体の持つ熱容量、コテ先の
持つ熱容量、 コテ先の形状による接触面積などを最適化してやらないとハンダコテの
本当の性能を引き出すことはできません。
その為には、正しいハンダ付けの知識が必要なのですが、残念ながらハンダコテメーカー
の販売員はともかく、工具屋さんや商社の営業マンは、そこまでの知識は通常持ち合わせ
ていません。
ですから、一般的に最高級なハンダコテが最適なハンダコテだと、売る側も買う側も思い
込んでいるわけですね。
当社で使用しているハンダコテは
HAKKO936のMタイプがメインです。
(静電対策等、後のことを考えるとESDタイプのほうが良いですね)
これは、コテ先のバリエーションが多く熱容量をコントロールしやすいので
多用しています。
コテサキは 900M-T-4C
900M-T-3C
900M-T-2C
があれば ほとんどのものに対応できます。
(丸棒を45度の角度で斜めにカットした形状です)
コテ台には、標準のコテ台にスポンジのクリーナーを使っています。
もう1本 BONKOTEの PC-118TNを
1005チップなどのチップ部品や 表面実装タイプのICやコネクタ等
によく使用します。(標準コテサキ使用がほとんど)
コテ台にはHAKKO633を使っています
(ワイヤースポンジのもの)
コテサキ温度は 340℃~360℃で管理できるといいですね。
(鉛フリーでも340℃程度が扱いやすいです)
ハンダの吸い取り線には
HAKKO WICK #4-2 と
HOZAN No 3736を使っています。
また、糸ハンダですが
φ0.3mmには HOZANのH-712と
千住金属のスパークル RMA98スーパー
φ0.6mmには 石川金属のGXM4
φ1.0mmには 同じく GXM3を使用することがほとんどです。
一例として参考になれば幸いです。
同じものを大量にハンダ付けする場合は、上記のハンダコテで
コテ先の形状をいろいろ試してみて、最適のハンダコテ先を選んだ後
最新式のハンダコテを導入してもいいですね。