最近 一部のマスコミからも質問が来ましたので
(パロマさん とかシンドラーエレベータさん の件ですね・・)
ハンダ割れ(半田割れ)(はんだ割れ)について 説明しておきます。
(実際の基板を見ていないので 一般論です・・)
☆「はんだ」とは?(材料・用途など)
一般に言う【ハンダ】とは スズ(Sn)とナマリ(Pb)の合金です。 (従来のハンダ)
ハンダの融点(溶ける温度)は約183度cと金属としてはかなり低いものです。
近年、「鉛が人体に悪影響を与える」ことから 鉛を含まない 【Pbフリー(鉛フリー)ハンダ】が
使われるようになってからは【共晶半田】とも 呼ばれています。( 区別するためです・・)
(パロマさんで使われていたのは 器具の年式からして 従来のハンダと思われます)
※Pbフリーハンダについては 必要があれば別途・・
ハンダは主に 電気製品の電気的接続のために使われる技術です。
ハンダ自体は 釣りのオモリを想像していただくとわかりやすいですが
簡単に手で曲げられるほどの軟らかい金属です。
従って、溶接などとは違い 機械的強度はあまりありません。
☆ ハンダ割れとは? 一般的なハンダ割れの原因とは?
電機・電子の業界では、当たり前のように、使われているハンダ付け技術ですが、
意外と、その本質について理解しておられる方が少ないのが現状です。
大企業であっても 接着剤や溶接と混同しておられたりして、誤った解釈の元、
半田付けをされておられる方が多数存在します。
これは ハンダ付けが『真似をすればそこそこ出来てしまう』ことが要因で
正しい『ハンダ付け教育』を行わないまま 現場へ作業者を送り出している
企業側に大きな責任があります。
ハンダ付けは、誤解されることが多いのですが接着剤や 溶接などとは
接合する原理が異なります。
すなわち 基板や端子の銅成分とハンダのスズ・鉛成分との合金を作ることによって接合
されています。
この合金層も 3~9ミクロンしかなく ハンダをたくさんつけた
からといって強度は強くなりません。
①原因の一つは 作業者が正しいハンダ付けの知識を持たないために
正常な合金層を形成できなかった場合、(イモハンダなどと呼ばれます)
器具を使用しているうちに、ハンダ接合部が割れて導通不良に至ります。
②ハンダ付けが可動部に使われていた場合、前途のように機械的強度が
弱いため 早々に金属疲労と同じように割れてしまいます。
③ハンダ付け箇所が 高温にさらされるような環境の場合、
(湯沸かし器のどの部分かにもよります)
あるいは 部品自身が高温になる場合
融点が183度cと低いために 半溶融状態となり割れます。
④ ②と同様、振動に対しても弱いです。
⑤ 電子部品(ICなど)と基板の膨張係数(温度による伸び縮み)が大きく異なる場合
(部品は大きく膨張するが基板は変化しない・・といった場合)
気温や 環境の温度変化により割れることがあります。
・北海道の寒暖差がハンダ割れの原因か?
⑤に相当すると思われますが
湯沸かし器は、ある程度 高温なると思われます。気温が低い場合
停止状態のときの温度と 運転中の温度との温度差は かなり大きくなると
思います。
要因のひとつと考えることはできますが ①②などを複合しているのではないかと
推定します。
・パロマ製品の製造過程でのハンダ付けの不都合があるとしたら?
たまたま人命に関わる事故だったので 目だっていますが パソコンやテレビ
ゲームや電化製品などの故障は ハンダ付けに関するものが大多数です。
当社に持ち込まれる修理の依頼などでも メーカーのハンダ付けが原因のことが
ほとんどです。
いずれも 正しいハンダ付けの知識があれば未然に防げた可能性が高いです。
・ ハンダの安全性(今回は特異な例?)
ハンダ付けの正しい知識を持って 設計され ハンダ付けされた製品は
安全です。(高温になる箇所では ハンダ付け以外の接合方法を使う・・など)
ですが、企業のハンダ付け教育に関しては まだまだ不充分だと思います。
( そういった意味で HPで情報を発信しているのですが・・)