☆ ご質問
野瀬様、お久しぶりです。
先日、日本溶接協会のAORP(マイクロソルダリング 上級オペレーター)の資格試験に
挑戦してきました。
まだ、結果は届いていませんが、期待と不安で結果が楽しみです。
半田つけってやっぱり奥が深いですね・・? ちょっと不安の方が大きい・・
ところで、前から疑問に思っていたのですが、 技能認定の筆記試験にある
問題4)チップ部品の半田付けの正しい手順で、一方に仮付けした後に
フラックスを両面に塗布するのは何故なんですか?
この問題を、数名に受けてもらったんですが、全員が「フラックス塗布が先で
仮付けをする」と答えてます。
何故?って聞かれた時、正当な答えが見るからなかったので「フラックスは、
付けすぎても不良を起こす原因にもなるし、必要最小限な量を必要な時に、
塗布した方がいいじゃないか?」って答えてしまったんですが・・
正解を教えていただけませんか・・?
☆ハンダ付け職人の回答
ノセ精機 野瀬です
ご無沙汰しております
上級オペレーターですか!
すばらしい・・ 実技のほうが結構厳しいので
落ちる人も多いみたいですが 受かれば大きな自信になりますね
さて フラックスの件ですが
○○様のおっしゃる通り
> 「フラックスは、
> 付けすぎても不良を起こす原因にもなるし、必要最小限な量を必要な時に、
> 塗布した方がいい」
というのが正解です
たいへん言葉が足りずに申し訳なかったですが
> 一方に仮付けした後に
> フラックスを両面に塗布するのは何故なんですか?
これは フラックスを後で 洗浄液で拭き取ることが
前提になってしまっています。
おそらく 日本溶接協会のAORPでも感じられたと思いますが
適量のハンダ量というのは かなり量が少なく
小さなチップ部品のハンダ付けでは ごく微量のハンダしか
使えないため フラックスも本当に極微量しか使えないことになります
このため 電極の酸化したチップ部品などではどうしても
フラックスを塗布することになるのですが
仮半田の状態では まだ フィレットを形成する必要はないため
フラックスは使わないほうが良いと判断しました。
(仮半田でも 蒸発しますね)
で・・仮半田が完了した後 チップの電極と基板に薄くフラックスが
塗布できれば 最少量になるかと考えたわけです。
しかし、考えてみるとこれが絶対正解というものではなく
仮半田の前に塗布しておいても 全然問題なく完璧なハンダ付けが
できることが殆どだと思います。
というわけで
電極の酸化や かなり小さいチップ部品を含むランダムな
ハンダ付けでは経験上 一方に仮付けした後に フラックスを両面に塗布する
のが 一番効率的かな?と考え記載したものです。
答えになっていますでしょうか?
☆ お返事
早速のご回答有り難う御座いました。
弊社の半田工程でフラックスを洗浄する?と言う工程がなく、
「フラックスを付けすぎると不良の原因になる事がある。」事さえ
知られていないようでした。
それ故に、「フラックスはたくさん付けた方が付けやすい。!」と
思って、「ベトベト」に塗布している作業者もいるようです。
まだまだ、「教育不足だなぁ!」と実感させられます。
確かに、AOPRで実技講習を受けた際、フラックスを塗布しすぎると
後の洗浄が大変ですし、洗浄が足りないと基板の汚れでNGになります。
以前にインサーキットチェッカーのコンタクトピンにフラックスが
悪影響を起こす為、塗布量に注意する事。と教育したのですが、
生産性を重視して、品質面がおろそかになってしまっています。
(まだまだ、やる事はいっぱいあるようです。!!)
又、勉強させてください。最終は「インストラクター」迄狙います。
ところで、しばらく見ない(homepage) 内にずいぶん替わったんですね?
非常に見易くなって感動してます。
☆ 追加で回答
ノセ精機 野瀬です
> 弊社の半田工程でフラックスを洗浄する?と言う工程がなく、
> 「フラックスを付けすぎると不良の原因になる事がある。」事さえ
> 知られていないようでした。
通常は量産品でフラックスを洗浄することはないと思います
うちでは 試作品を扱うことが多く 数量も少なく
1個に掛ける工数も多いため フラックスは拭き取ったり
洗浄したりすることが多いです。
生のフラックス(熱で活性化していない)には腐食作用がありますから
べとべとにしておくと数年後には いろいろな悪さをします。