※こちらの記事は2012年11月9日に公開した記事をリニューアルしたものです
スズキ ワゴンR エアコンパネルのLED打ち換え手術です。
ご自分で交換されたようですが『数箇所が不点灯なので』という依頼です。
今回は打ち換えの様子とともに不点灯の原因も考察してみたいと思います。
(いつもより長いです)
↓↓ 依頼基板の状態です ↓↓
うーん、イモハンダです。
馴染み不足が不点灯の原因でしょうか。
カラーはピンク・ホワイト・ブルーのようです。
不点灯の原因ですが…
まずははんだの馴染み不良
これはLED打ち換え時の注意点によくあげられる
「LEDのはんだ付けはハンダコテの温度を~300℃くらいまでで」
というのに起因していると思います。
確かにコテ先の温度は~300℃くらいに設定しているとLEDの熱破壊はガードできます。
反面 ランドの場所によっては
・はんだが溶けづらい
・この温度ではまったくのイモハンダの状態にしか仕上がらない
という箇所が出てくることもあるかと思います。
ゴッドはんだでは窒素ガスがコテ先から噴出される特殊なハンダコテを使用しています。
窒素ガス発生装置 FX780-01
窒素ガス流量計 FX791-01
窒素ガスはんだコテ FM-2026-05
ハンダコテFX950・FX951(以上すべてHAKKO)
このハンダコテを使用することで噴出される窒素ガスによって
・酸化防止効果・・・窒素ガスが酸素を遮断することで酸化を防止。
・予熱効果・・・熱風(窒素ガス)が基板をあたためる。
ではんだが馴染みやすい状態を作り出してくれます。
低めの温度に設定されていてもイモハンダになりにくいです。
(通常のはんだ付けで作業に理想の温度は~370℃くらいです)
では
『そのような特殊なハンダコテはないが
なんとしてもLEDの打ち換えをしたい!
するする絶対する!』
というときはどうしたらよいか?
★基板をドライヤーなどでやんわり暖める
(ランドに熱が伝わりやすい状態を作ってやる)
★実装に見合ったコテ先をチョイスする
(どうしても細かい部品なので細いコテ先ではんだ付けをしようとするのですが、
ペン先ほどのコテでは伝わる熱量も少ないためはんだが馴染みにくいです)
★適正なサイズのLEDを実装する
今回のワゴンRの基板を例にすると実装するチップLEDのサイズは1608チップです。
が、写真では2012という実際のランドより大きめのサイズが実装されています。
これが不点灯を作り出す2つ目の原因と考えます。
サイズが合っていないためしっかりはんだ付けが出来ずに馴染み不良になったり、
なかなか実装できないので長時間LEDにコテをあて溶かしてしまう、
といった現象が起きてしまいます。
またこの基板にはジャンパー加工をした箇所が複数あります。
配線はばっちり正解なのですが配線が太めなのではんだ付けに苦労されたようです。
このような場合配線も適切な部材を選ぶとよいですね。
鉛フリーはんだは難しい…
コテ先温度~300℃では扱いづらい…
ので上記の窒素フローハンダコテを使用しているのですが
自宅にそんなものを持っているマニアの方がようけいてる!なんてことはまず無いと思います。
共晶はんだを使用するといいと思います。
(どうして鉛フリーはんだは難しいか?はお時間の許すときに
はんだ付けに光を!のバックナンバーをのぞいてみてください。)
そうして配線も新しく修正が完了した状態です
全ての箇所を本来の1608サイズのチップLEDに交換しました
配線は極細錫メッキ線を使用しています。被覆がないぶん作業はし易いのですが
ショートしないように注意して配線します。
続いて点灯チェック。
きれいなピンクとブルーです。
長くなりましたが
お付き合いありがとうございます!
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