こんにちは、はんだ付け職人です。

今日は、部品の保管に関するお話です。
はんだ付けのトラブルは、道具や技術的なものばかりではありません。

何気に、あるいは良かれと思って行った行為が
予想外のトラブルの元となることがあります。

今回、紹介するのは「紙」です。
電子部品を紙製の袋や、ナイロン製袋の中に紙と一緒に
保管する行為についての警鐘です。

田中和吉 大先生の著書
はんだ付け作業のトラブル対策【日刊工業新聞社】 (1984/01)
に事例がありました。

(この本、今読んでもとても面白いんですが絶版となっています。)

さて、私にも、ちょくちょく経験があるのですが
大事な電子部品や金属製部品なんかを保管する際、

ぶつかり合ってキズが付くのを防ぐために
紙でそっと巻いたりして保管することがあります。

和吉 大先生も同じことをされていたらしく、
後日、出荷する段階になってから部品を点検してみると

銀メッキされていたはずの金属表面が、真っ黒に変色していて
問題となったそうです。

原因を追究していくと、
紙の製造工程に原因と思われるところがありました。

紙は、原木からパルプを精製する過程で
亜硫酸ソーダ、亜硫酸カルシウムなどを使用します。

これらの残分が気化して、空気中の水分と作用して
金属表面を侵す・・。

その時は、銀メッキを侵して、硫化銀を生成し黒色していたことが
再現実験で確かめられたそうです。

特に湿度が高い時に硫化するのが早いらしいです。

「うーむ・・これ、気付かずやってるなあ・・」
と思いましたので、皆さんにも紹介させていただきました。

現品票や、図面と一緒にポリ袋に入れて保管することも
あったりしますね。

部品の保管の際は、紙に注意です。

では、明るいはんだ付けを!