28fe8b85.jpgこんにちは、はんだ付け職人です

今日は、先週お話した【引きハンダ】についての補足説明を
しておきます。

というのもこの【引きハンダ】という技術は、産業ロボット用の
ハンダ付けワークでは主流になりつつある作業形態ですが
わずかな認識の差で大きなリスクを生じることがあるからです。

先週、

>【引き半田】にも基本的な条件がありまして、コテ先の幅は
>パターン3本分であることが望ましく・・

とお話しましたが、あくまでも基本であり、実際の作業では
対象ワークによってコテ先幅や蓄熱量を変える必要があります。

これは、通常の手はんだ付けと同じことでして、母材の熱容量によっては
熱容量を増やすために、コテ先の幅を大きくしなければならない
場合が出てきます。


また、この部分

> コテ先がリードに触れるか触れないかという位置で、溶融したハンダが
> リードの上を移動していく形でコテ先を移動していくところがミソです。

この触れるか触れないかという表現なんですが、「非接触」なんですね。
いったん母材を温めるために接触させますが、はんだが溶けた後は
コテ先をわずかに持ち上げて、コテ先をスライドさせていきます。

溶融したハンダがリードの上を移動していく感じですね。
DIP槽と同じ状態を基板の上で作るわけです。

リードにコテ先が触れてしまうと、はんだ付けの対象が微細なリードですから
簡単に曲がってしまいます。このあたり微妙な力加減が必要になってきます。



次にここで、私があまり詳しくないロボットでの【引きハンダ】について
コテ先を専門に製造されている(ロボット用、手ハンダ用)
セラコート工業株式会社 北見さんからいただいたメールを一部紹介させて
いただきます。

————–引用部分ここから————————————–

母材にコテ先を接触させるハンダ付けは従来から行われています。
ただ引き(流し)作業の場合は勝手が大きく変わり、コテ先も金属製品と
なりますので接触部が損傷します。

昨今、基板の改良が進むにつれてパターンの軽量化が重要視されています。
この影響もあり、パターンの厚さが非常に薄くなっています。

そこに硬度の高い金属であるコテ先が接触し引きずりますので、
パターンは切断されていると考えた方が自然です。

「非接触」は引き(流し)ハンダの作業では大原則として訴求すべきことです。

各ロボットメーカーでは、この抵抗についての独自ノウハウを蓄積し
現状で運用を続けています。コテ先屋としては「接触」は非推奨ですが
ロボットメーカーでは改善案を併せて推奨製品が成立しているのです。

——————–ここまで—————————————-

セラコートさんでは、コテ先のメッキ面を制御することによって
近接ワークとのブリッジ防止をしたり、作業熱量の効率的なハンダ面への
流し込みを可能にする手ハンダ作業向け引きハンダ作業用コテ先や
ロボット用コテ先を開発されています。

新春のインターネプコンジャパン(東京ビックサイト展示会)で初披露
される予定です。
機会のある方はぜひチェックしてみてください。

では、明るいハンダ付けを!