こんにちは、はんだ付け職人です
今週は、シャドーハンダです。
「なんじゃそりゃ?」
と思うほうが普通です。
シャドーハンダと申しますのは、私、ハンダ付け職人が勝手に名付けたもので
辞書には載っておりません。TVでDVDハンダ付け講座が紹介される場合
茶化すのに必ず使われる部分ですが、効果は絶大です。
ハンダ付けの基本動作を単純化して、わかりやすくイメージしていただくための
トレーニングで、動作は4つしかありませんので、誰にでも覚えてもらえるか
と思います。
このトレーニングではハンダコテは必要ありません。ボールペンなどでも十分
代用できますのでやってみましょう。また、初心者の方にハンダ付けを教える
際には意外に有効なのでぜひ活用してみてください。
1: コテ先を 母材に当てて温める。
特に見よう見まねでハンダ付けをされる方が誤解しやすいのは、コテ先と糸
ハンダを同時に母材に当て、直接コテ先に糸ハンダを当てて糸ハンダを溶か
しているように思いがちです。ハンダ付けに熟練した方がハンダ付けする場合
母材が小さい場合や、コテ先の熱容量が十分大きい場合は、一見コテ先と糸
ハンダを同時に母材に当てているように見えます。ですが実際はまず、コテ先
を母材に当て、母材を約250℃まで温めています。
2: 母材の温度が上がるのを見計らって 糸ハンダを供給する。
1:で母材の温度を約250℃まで上げた後、糸ハンダを供給します。
温度は目に見えませんから「今、250℃だ!」と判断はできませんが母材の
大きさ(熱容量)やコテ先の熱容量から母材の温度をおおよそ推定します。
タイミングが早すぎると糸ハンダが溶けませんし、温度が上がりすぎると
電子部品が熱破壊したり、糸ハンダ内のフラックスが急激に蒸発してミニ爆発
を起こし、パチッと弾けますので判断できます。
このあたりが経験の差になってきますが、多少の誤差は許容されますので心配
は要りません。
3: ハンダ量をコントロールして、糸ハンダの供給を止める。
ハンダ量はここでコントロールします。【7.1ハンダ量について】で述べ
ましたが、ハンダの量が多くなりすぎないように注意します。あまりハンダの
供給に時間を掛けますとフラックスが蒸発してしまいイモハンダになってしま
いますので、サッと適量だけ供給するようにします。
4: ハンダが馴染むのを確認して、コテ先を離脱する。
この【ハンダが馴染むのを確認する】という動作が抜けますと熱不足による
イモハンダとなってしまいます。3:で糸ハンダを供給した際、母材とハンダの
温度は下がっています。ここで再度、約250℃の金属間化合物ができる最適
な条件をつくってやって、フィレットが形成されていくのを観察してから
コテ先を離脱します。
この4つの動作を
「イ~チ!ニ~イ!サン!シ~!」と声を出しながらトレーニングされること
をお薦めします。(人前でやるのはちょっと恥ずかしいので1人でやりましょう)
************************************************************************
コメントに対する回答です。
コメントは400字以内でしか書き込めないため
こちらに書きますね。
ハンダ付けたまごさん はじめまして。
このタイプのハンダ付けは皆さん苦労されています。
講習で最もリクエストが多いもののひとつです。
まずは、
1:コネクタをしっかり固定できること
2:ケーブルを固定できること
をいろいろなバイスなどの中から選んできて行う必要があります。
同じコネクタが多ければ冶具として作ってしまうほうが
いい場合もあります。
何度もハンダ付けを行うことを考えると、工数削減でその費用ぐらいは
すぐに回収できると思います。
3:適したハンダコテを選ぶこと
4:細い糸ハンダを使うこと
この大きさのコネクタでは、かなりの熱容量を必要とするため
それなりのハンダコテとコテ先を選択する必要があります。
(2Cや3Cなどの形状のコテ先)
コテ先温度は350℃までに抑えたハンダコテのほうがいいですね。
(温調が付いていないハンダコテでは難しいと思います)
コネクタの形状は違いますが、コテ先の当て方などは
下記サイトが参考になるかもしれません。
https://www.datsuken.com/001.html