こんにちは、はんだ付け職人です
先週に引き続き、フラックスについてのお話です。
ハンダ付けの技術はフラックスの使い方が占める割合が
かなり大きく、「フラックスを制するものはハンダ付けを制する」
と私も講習で言ったりします。
ハンダ付けの初心者の方が、よくやりがちなんですが、母材を十分に温めないで
糸ハンダを供給してしまうために、糸ハンダがなかなか溶けずに焦ってしまい、コテ先に
直接、糸ハンダを当てて溶かしてしまう・・。
これは、よく見られる光景なんですが、これをやりますとフラックスは、働く間もなく
どんどん蒸発してしまい、一番働いてほしい時には、すっかり蒸発してしまっています。
ハンダ付けでは、フラックスを有効に使える時間をできるだけ長くすることが
重要です。このためには、母材をしっかり温めておいて、コテ先に糸ハンダが
触れないように少し離れたところへ糸ハンダを供給します。
とはいえ、母材の表面をフラックスによって洗浄するためとコテ先と母材との接触面積を
増やすために、最初にほんの少しだけハンダをコテ先に溶かして付け、フラックスが
母材に濡れ広がった後に、糸ハンダを適量供給するのは有効な方法です。
こうした動作を熟練者は無意識のうちに行っていますが、初心者が見よう見まねで
やろうとすると、コテ先に直接糸ハンダを当てて、どんどん溶かしているような
錯覚をしてしまいます。
きちんとしたハンダ付け教育をしないで
「○○さんがやってるのを観て同じようにやってみて!」
といった指導をしていると、ハンダ付けを錯覚、誤解したままの人が
増えてしまう大きな原因となりますね。
フラックスには、次の大きな役割が3つあります。
1:金属の表面や、溶けたハンダ表面の酸化膜や汚れを科学的に除去する表面洗浄作用
(フラックスは、ハンダよりも低い温度約90℃で溶けるため、ハンダよりも
先に溶けて母材の金属表面を洗います。)
2:ハンダの表面張力を低下させ、ねばりを弱くしてハンダの濡れ(流れ)を良くする。
3:ハンダコテを当てている間、金属の表面を覆い、金属の再酸化を防ぐ。
知っている方には当たり前のことですが、これからハンダ付けを習得する方には
しっかり教えてあげましょう。
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(ちょっと難しいかもしれませんが挑戦してみてください。)
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活用していただけると幸いです。