こんにちは、はんだ付け職人です

今日はハンダボールに関するご質問への回答です。


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☆質問

始めまして、私は毎日半田付けの仕事に従事していますが
半田のことは詳しくありません。
会社の管理者に、分からないこととかを聞いても詳しく教えてもらえないし
多分知識がないのだと思います。

今回問題が発生し、自分の頭では考えられないので
問い合わせてみることにしました。

私の作業は端子と金具を半田つけするのですが。、半田のなじみが悪く
時間もかかり半田ボール発生もあります。
おまけにラインの流れについて行かなければならず・・・。

今日は、その半田ボールが、原因で治具を被せて半田つけしろと言うので
その通りにしましたが、
(その治具は半田つけする箇所だけ穴があけられておりそれ以外は、カバーされています。 )
それでも開いている穴から半田が落ちたりして半田ボールの発生は完全に防ぎきれません。

根本的な原因は何なのか?
半田線・1・6パイ使用、温度・355度・こて先クサビ型中使用しています。

私が質問したいことは   
1.どうしたら半田ボールの発生を防ぐことができるのか?
2・半田つけする際半田線?温度?こて先?なにをどのようにしたらいいのか
詳しく教えて頂けないでしょうか?
            
どうかよろしくお願いいたします。





☆こんにちわ 野瀬@半田付け職人です

さて お困りのようですが・・

> 半田ボールを発生させてしまう原因を
> 詳しく教えて頂けないでしょうか。

半田ボールが 発生する原因には 2つあります。

☆カラー図解マイクロソルダリング不良解析Q&A(著 長谷川正行 氏)
 日刊工業新聞社(1988年発行)
のP31~34にわかりやすい説明がありましたので、引用しつつ解説します。


ひとつは 糸半田 内にチューブ状に入っているFLAXが
急激な温度上昇によって 瞬時に沸騰し ミニ爆発を起こすことです
(フラックスの玉も 同様です)

作業効率を良くしようと コテ先温度を上げて半田付けを行うと
発生しやすくなります。仕事量が増えたり、作業になれてきて
作業スピードが上がってくると要注意です。

要は作業を急ぐあまり、糸ハンダの供給が早くなり溶融ハンダフィレットの中に
糸ハンダに内包されるフラックスが突っ込まれるのが原因です。

これを防ぐには 
① 半田コテの 温度を低め(340度c程度)にして作業する。
② 作業をゆっくり行う。
③ 糸半田に 切れ目を入れて フラックスが爆発しないようにする

の方法があります

③の 切れ目を入れる機械は 例えば アオバ自動機さんのはんだフィーダー アストシリーズ
価格は 2万円強だったと思いますが 試してみられる価値はあると思います。


2つ目は、コテを引くのが早い場合です。
溶融ハンダフィレットからコテを引き抜くのが早すぎると
コップに入った水に割り箸を浸して、すばやく引き上げると、水のしずくが
飛び散るのと同様、ハンダボールが飛散します。

この場合、右利きの人の場合はハンダ付け箇所の右側にボールが落ちやすくなります。

やはり、仕事量が増えたり、作業になれてきて
作業スピードが上がってきた場合に発生しやすく
対策としては、

① 半田コテの 温度を低め(340度c程度)にして作業する。
② 作業をゆっくり行う。

ことになりますが、長年の癖というか慣れてくるとどうしても作業は早くなりがちで
作業が早いことが 職場で評価されることもあって(タクトタイム計測したりして・・)
放置されやすいですね。

実際の現場では、ついつい作業の速さだけを評価してしまう傾向がありますが
管理者の方はこういったことも知っておいたほうがいいですね。